アゼムシロ 〔ミゾカクシ〕
暮らしとの関わり
 現在では除草剤が使われるため多くは見られないが、昔は田の畦やクロ(畔続きの土手)にその名のとおりムシロを敷いたように繁茂する強害草であった。再生力が強く切断した茎からも根が出て生き返った→群生画像
 子どもの頃に、毎年夏休みに畔草取りをさせられたが、その時に、この草の花をまじまじと見ると、三本鍬かマンノウを連想してしまうその変わった形に興味を覚えた。
 ちなみにこの草をその花の形からサンボングワと呼ぶ地方があるという。石黒では、この草の方言名は伝わっていない。
 吸蜜にアリがよく訪れている様子が観察される。

(写真2005.7.17寄合)


                葉と花

写真2010.9.29上石黒

    中部で合着する雄しべと合着した葯

  写真2006.7.9寄合


   葉の鈍い鋸歯と柄

写真2006.7.9寄合


          全体の大きさと節から出る根

写真2010.6.309寄合

解 説
キキョウ科
 日本全国の水田のの畔や湿地に多く見られる多年草
 茎は細く地面を這うように枝分かれしながら20pほどに伸びる。節から根を出して所ところで立ち上がる〔左下写真〕
 葉は互生し左右2列にまばらに並び、長さ1〜2p、幅2〜4oで鈍い鋸歯があり柄はほとんどない〔左下写真〕
 花期は6〜10月。深く五つに裂けたピンク色〔時には純白の花もある〕の長さ1pほどの花を開く。裂片は一方に片寄り左右相称花となる〔上写真〕。下唇の基部には緑色の斑紋があり、細毛が密生する〔下写真〕
 ヤク〔葯〕は合体して花柱を包み〔左下写真〕柱頭は浅く2裂する。子房は下位で上方に5個のガク片がある。長い花柄は花後に下垂する。
 さく果は5〜7oで上端が割れて赤褐色の種子〔径0.3o〕が撒布される。
 名前の由来は畔にムシロを敷いたように繁茂することによる。



    ガク片と花柱


写真2006.7.9寄合

    吸蜜する昆虫
写真2006.7.9寄合

      花の様子
写真2006.7.9寄合