テン(ホンドテン)
暮らしとの関わり
 現在では石黒でも普通にみられるが、昭和前半までは希に見かける獣であった。現在では里山が荒れたため人家の近くでよく見かける。
 先日(2009.5.8)も山小屋の登り口で携帯電話を掛けている最中に二頭が目の前を走って横切った。
 また同日、タキノフチで植物を撮影していると山の斜面を下りて来て荒らし田を横切り沢に下りた、それからしばらくして沢から上がってきたところを撮ったのが右上の写真である。
 昭和の前半の頃はイタチもタヌキでも毛皮を門出村の商店で買ってくれたので罠で捕らえて売る人もいた。イタチなども当時としてはかなりよい値段で売れたというからテンは相当の高値がついたものであろう。
 昔からタヌキは畑の作物を荒らし、イタチは池の魚を捕るため害獣として憎まれたがテンはそうした話題には登場しなかったように思われる。
 石黒では昔からテンの方言名はなく、テンと呼んだように記憶するが聞き取りをしてみたい。 
〔写真撮影上 道郎   右上下2009.5.8下石黒〕
解 説
イタチ科
 本州、四国、九州に分布。低山から高山の森林に生息する。
 体長38〜58p、尾の長さ15〜25p、体重1〜2.4s。夏は灰褐色をしているが、冬は黄色に変化するキテンと冬毛と夏毛があまり変化しないスステンの2つのタイプがある。
 木のウロや岩穴に巣をつくり、5〜6月に2〜5頭の子を産む。主に夜に活動し、ネズミやリスや鳥、トカゲ、カエルなどの他に柿やマタタビサルナシオオカメノキの果実などを食べる。
 キテンは顔が白く体が黄色で大変美しいため襟巻きやコートの毛皮として利用され、現在も捕獲されている。