ヨシ(アシ)刈り
                            田辺雄司
 さずえ(梅雨)のあがると、干し草刈りと同時にどこの家でもヨシ刈りが始まりました。このことについては、大人になって知ったことですが、ヨシはこの頃(7月頃穂のでる前)に刈ると一番茎が肉厚で、丈夫なのだそうです。
7月頃のヨシ

 沢山は刈らないのですが、刈ったヨシは一本一本先端の方を握ってしごくようにして葉を取り去るのでした。手が痛くないのかなあ、と思いながら子どもの頃に真似をしたものですが、葉や茎の割れたところで手を切って親に怒られたものでした。
 こうして葉を取り去ったヨシは2握りか3握りを一束として、3〜4カ所を結わいて、5束ほどまとめて先をしばって根元の方を広げるようにして立てて乾燥させたのでした。ヨシは草丈が3m近く、横にして背負うと狭い道は歩きにくいので、数束をまとめて結わえて肩に担いで運んだものでした。
 翌年の春に茅葺き屋根の葺き替えをする家ではヨシを沢山刈り取りました。その家では山から運んできたヨシを近くの杉の幹に立てかけるようにして縛りつけて冬の間、雪に濡れないように藁を編んだもの(ノマカキ)をぐるぐると巻き付けておきました。春の屋根の葺き替えのときに、屋根の軒(屋根の下端の建物の外部に差し出たところ)や角のところにヨシを使うと見た目がきれいにできあがるのでした。
 また、家の新築では間尺にあわせてヨシを切り、コマイカキ(井の字)に組んで結わえて、土壁の下地をつくりました。
ヨシを使ったコマイカキ

 また、一般の家では、庭先に運びスダレを編みました。方法は、二間ハシゴを自分の腰の高さの台にして、そのハシゴに目印を付けておいて編むのでしたが幅はだいたい6尺(約180p)くらいでした。 また、トマグチ(玄関口)の覆いにする場合には土間口の高さと幅に合わせて編んだものでした。
 多くの家では、昭和30代までは雪だなの奥の玄関の入り口のヨシズを立てかけて吹雪きの侵入を防いだものです。2枚のヨシズを使って観音開きの方式で使う家もあったようです。
 子どもの頃はそのヨシズの陰に隠れて、雪だなの下にやって来るスズメをカゴドオシを使ったワナで捕まえて遊んだ楽しさを今も忘れません。
 また、このヨシズを春先に残雪の上に敷いてその上にムシロを広げて、大根を細かく切ったものを干したものでした。生乾きのものを子どもの頃に食べてみましたが大根くさいが甘みがあって美味しいものでした。
 また、畑などの水はけのわるい所に、クワで深く溝を切り、そこにヨシを束ねたものを入れて暗渠排水をしました。
このように、ヨシはカヤと同様、昔から生活に役立つ貴重な植物として大切にされてきたものでした。