イザリ機 (いざりばた) 
 もともと、越後縮みの織り機は、上の写真のイザリハタ〔いざり機〕が中心であった。その後、量産化が進むとタカハタ〔高機〕に移行したが、タカハタは縦糸に力がかかるため縦糸が切れやすく、イザリハタで織った布が品質が勝るといわれた。
 機織りは根気の要る仕事であったが、その前の工程の手積み〔てうみ〕の作業もそれ以上に大変な仕事であった。カラムシの皮から作った青苧〔あおそ〕を爪で細かく裂き、その一本一本を均一な太さにして撚ってつないでいく。縮一反分の糸の量を考えても気が遠くなるような作業である。
 石黒でも昔からこの仕事が冬の女衆の重要な仕事であった。下掲載の
「縮集荷覚え-大橋正男家文書」によれば一戸で3反の出荷記録も見られる。

※筆者が子どもの頃(1945年頃)には、イザリ機は使われなくなって久しく機が原型のまま残っているものは見たことはなかった。筆者の家では、物置のガラクタの中に部品が散乱していて、その中の筬(おさ)を遊び道具としたが、それが竹で精工に作られていることを知ってその高度の技術に子ども心にもひどく驚いたことを憶えている。

 参照→苧

 動画資料→イザリ機

参考資料→縮集荷覚
「越佐郷村の古文書」→参考資料


 

         イザリハタ-1
イザリハタ-2