オシギリ |
刃 |
オシギリ(押し切り)は大抵の家にあった道具である。とくに牛馬を飼っていた家には必ずあった。稲ワラを細かく切って熱湯をかけ飼料として与えたからだ。牛馬の飼料にする干し草や稲ワラは、オシギリで数日分をまとめて切って置いて使った。 筆者の家には1950年頃に、牛馬の飼料用の藁切り機があった。高さ1m程で手前の箱に藁を入れて取手を上下すると、藁が自動的に送られ切断されて先方から落ちる仕掛けであった。 牛馬の飼料の外に、家普請のときに土壁の中に入れるスサ(※苆)を作るときにも使った。 また、石黒ではケナシミヤマシシウドなどを山から取って来て人糞と混ぜて堆肥を作ったと伝えられるが、この草を切り刻む時にもオシギリが使われた。 しかし、希には指を切るという事故もあり、大抵の家では子供たちには使わせなかった。筆者の家にもあったが、子どもの頃には、触ることも禁じられていた道具であった。 ※すさ-苆→荒壁を塗るときに壁土に混ぜて、ひび割れを防ぐための繊維 参照-家普請 民具補説→押し切り |