ケナシミヤマシシウド
暮らしとの関わり
 石黒では「サイキ」と呼んだ。野草では最も巨大で、2メートルを超えるものもある。石黒では、しばしば大群生が見られる。→参考画像1〔春〕  参考画像2〔花期〕
 基部の太さは径10pに近いものもあり、子どもが木登りならぬ草登りが出来るかと思われる大きなサイキもあった。いわゆる「ウドの大木(たいぼく)」の由来である。草全体にセロリに似た独特の香りがあったように記憶する。
 昔は、初夏に山から取ってきて、押し切りで10pほどに切り刻み、藁で囲って発酵させて堆肥とした。化学肥料が「金肥」と呼ばれるほど貴重な時代で、牛馬を飼っていない家では特に多く作った。→四季の農作業
 子どもの頃、枝の付け根の鞘部分から芽が出ている様が珍しかった。また、花もミヤマシシウドと同様に花柄が四方に張り出した全体の形が美しい。→参考画像
 
(写真上2004.9.25上石黒 右上下2005.10.28下石黒)


     ケナシミヤマシシウドの花

撮影2005.8.1下石黒

           春のケナシミヤマシシウド

撮影2011.5.8居谷

          夏のケナシミヤマシシウド

                撮影2005.7.14落合

         晩秋のケナシミヤマシシウド
撮影2008.11.13中後

           塊根化した根

撮影2009.10.14下石黒

     260pに達したケナシミヤマシシウド

撮影2009.11.24上石黒高床

           葉の表裏の色

撮影2010.6.26上石黒
            冬の様子

  写真 2010.12.1 板畑 嶽 
     
解 説
セリ科
 わが国の固有種で本州・九州・四国の山地の草むらに自生する大型多年草。ミヤマシシウドの一種である。
 根茎は塊根化して太い〔左下写真〕
 茎は大きく直立し中空の円柱形、上部で分枝する。高さ1〜2mほど。
 葉は大形で3回羽状複葉で無毛〔下写真〕。小葉は卵形で鋸歯がある。葉柄の基部は鞘となって非常に大きくふくれ茎を抱く。上部のものは膜質で小枝の先では若い花序を包む〔上写真〕
花期は7月〜11月。枝先に大きな複散形花序をつけ大花柄は四方に張り出して多数の白色の小花を開く。 花弁は5個で内側に曲がり(写真左下)、雄しべ5個、下位子房が1個ある。果実の時期になると傘形の穂は更に大きくなる。
 果実は広楕円形で紫色を帯び両端は凹み、分果は扁平で広い翼があり、背面に三脈がある。〔下写真〕
 ※酷似するミヤマシシウドは葉の裏に細かい毛があり、花期が6〜8月であることで区別できる(左写真)
 名前の由来は、ウドに似ているが、強剛なのでイノシシが食うのに適したウドと見て名付けられたという。

柏崎市街地の周りにはよく似たオオハナウドの花が5〜6月初めに見られる。→写真



        幼苗

写真 2009.5.7 下石黒

        若芽

   撮影2006.5.6上石黒

         葉

撮影2009.5.26上石黒

         花

写真 2010.7.21 上石黒

        根茎

撮影2009.5.9寄合

        果実(分果)

写真 2010.8.1 上石黒

写真 2010.8.16 上石黒

撮影2009.11.24上石黒