民具補説
                     押し切り
 押し切りは、昔から昭和20年代(1945〜1955)まで使われたきたように思われます。
 私たちが子どもの頃はどこの家にも1台はあり、牛馬の餌となるワラや干し草などを晩秋のころに1〜2日ほどかけて押し切りで切り刻んだものでした。あられの降るような寒い日でも汗がにじむほどの労働であり、その上ホコリが舞うので大変な仕事でありました。  
 その他、今日、古い茅葺き屋を解体すると土壁の中に同じ長さの切り藁が見られます。
昔の家普請で押し切りで切った藁を土とよく踏み混ぜてヨシ等のコマイカキの上にこの土壁を塗ったでした。
 壁土づくりは敷地の中にまず1m×3mほどの窪地をつくり、その土を長方形で長い柄のついたフルイにかけて小石などを取り除きます。そこに切り刻んだ藁を混ぜて水を入れて足で踏んで練るのでした。できあがった壁は切り刻んだ藁がツナギ(連結体)の役目を果たしヒビ割れしないのでした。
 また、土蔵の土壁を見ると切り藁は家の土壁のものより短いものが使われていて、壁の厚さは30pほどで中には縦に幾重にもスベナワが入れてあります。(左写真)

 押し切りは常時使うものではなく、また子どもが悪戯すると危険でもあり普段は板で覆いをして縄でしっかりと縛って保管しておいたものでした。

               押し切りの構造

            文・図 田辺雄司 (居谷)