カラムシ甘皮取り  
 石黒では昔、越後縮みの原料としての麻を栽培し縮布を冬の女衆の仕事にして多く生産し出荷した。「越佐郷村の古文書」にもそれを裏付ける検地帳が掲載されている。現在でも「苧畑」の地名のも各集落に見られる。
 また、下石黒の古文書大橋正男文書には、一冬60反余〔下石黒・大野軒数70余軒〕の集荷覚書がみられる。
 この縮布の原料となる苧の皮引き具は、カラムシ〔苧〕を採取して葉を取り去り、二つ折に切り、皮をむき、茎の周辺部の繊維(甘皮)を削り取り去るときに使った。
 皮を板の上において鉄の部分でしごくようにして取り去った。皮はむいてから時間がたったものはタネ〔家の脇の池〕に浸してから皮についた甘皮〔石黒ではアカと呼んだ〕を取り去った。
 アカを取り去った皮は日陰干しにして
手で細く裂き、手で撚ってつなぎ麻糸とする。さらにそれを糸車を使って縒りをかけて糸巻きに巻いて越後縮の糸とした。
 
また、カラムシの皮をむいたものをそのまま、陰干しにしたものを「オ」と呼び、荷縄に混ぜたり、縄にして今日のナイロンロープのように使った。

参照→衣食住 他
民具補説−カラムシのアカとリ具