民具補説 カマス(叺) カマスの作り方は、まずムシロ状に編んだ物を2つ折りにして両端を縄で綴じて、上の口の所は片方が3寸(約10p)ほど長くしてありました。→下図参照 カマスは、いろいろな物を入れるために使われました。 私たちが子どもの頃には、主にカマスに塩やある種の肥料が入れてありました。目方は10貫目(約37.5s)ほどで遠地から人の背中や牛馬の背で運ばれてきたものでした。 カマスに入れた塩は場所の悪いところに置くと、すぐに湿気を呼び固まるのが常でした。私の家では土蔵の横に味噌倉(みそぐら)と呼ぶ部屋がありそこに4斗樽、5斗樽と中に味噌の入った大樽がありました。 その倉の入り口に1斗樽を2個並べてその上に2本の棒を渡してその上に塩の入ったカマスを置きました。しばらくしますと湿気を含んだ塩の入ったカマスから液体がしずくになって垂れてきました。その液体を「めだれ」とか「にがり」とか呼んで、家で豆腐を作るときに使いました。 その他、米俵に代わって一時、カマスが供出米の入れ物としても使用されました。そのときにはカマスの重量と縄の重量縛り方等に規制がありました。 しかし、しばらくして倉庫等に積んで収納するばあい不都合があるとのことで現在のような紙袋が使用されるようになったのでした。 文・図 田辺雄司 (居谷在住) |