スダジイ | |
暮らしとの関わり 石黒には自生していない。市街地で見かけるものは、社寺に植えられたものが主である。 スダジイは新潟県が北限であり、自然林の体を成すものとしては西山町石地の御島石神社の裏のスダジイがある。(下写真) 筆者は、30年ほど前にここを訪れたことがある。その節は秋であったのか、堅果をいくつか拾ってきて植木鉢で発芽させ数年育てた記憶がある。 それ以後は、一度も行っていないので今秋は是非とも訪れてみたいと思っている。 今日、新道の鵜川神社の大欅を撮影にいったところ、近くにスダジイの大木が数本見られた。すでに、果実期を迎え穀斗が開き種子が見えるものもあった。 昨日(2014.10.11)に畔屋の山に撮影に行った帰り道、平井集落の広大な屋敷内にカエデ、ウラジロガシ等の巨木が眼についたので見せていただいた。とくに、驚いたのはスダジイの巨木であった。これだけのものは市内でも極珍しいのではないかと思い、自分の体と比較するために木の前に立ってお家の方からシャッターを押してもらったのが下の写真である。 その折に拾ってきた果実を試しに炒って食べてみた。ほのかな甘みが感じられる癖のない味わいである。ちなみに、炒り過ぎると硬くなるので焦げめのつかないうちに食すと柔らかで美味しいようだ。ふと、子どもの頃(1945前後)にブナの実をこのように炒って食べたことを懐かしく思い出した。 また、「にいがた山野植物ノート」を読み、佐渡で「シイ一升、米一升」といわれたことを知り、筆者は子どもの頃、祖母から「クリ一升、米一升」と聞いたことを思い出した。スダジイの果実はクリの果実と同等の価値があるものであったらしい。 2017.2.16は最高気温13℃という陽気に誘われて西山の大崎神社にユキバタツバキの撮影に出かけた。神社の鳥居の近くにスダジイの大木があった。 写真写真2013.5.11緑町 右上2014.9.2緑町 |
解 説 ブナ科 本州の新潟・福島県以南の各地に分布する常緑高木。庭木や社寺などに植栽されたものも多い。雌雄同株。 高さは15〜25m、直径は1〜1.5mに達する。樹皮は黒褐色で成長につれ縦に切れ目が入る特徴がある。 幹は上でよく分枝し丸い樹冠ををつくる。 葉は、柄があり互生しクチクラ層が発達し厚い皮質で光沢があり、裏面は淡褐色〔鱗片状の毛の色〕〔上写真〕。全縁または上部に波状の鋸歯がある。 葉の長さは5〜15p、幅2.5〜4pの広楕円形で先端は急に細まり尾状となる。 花期は5〜6月ごろ。葉のつけ根から6〜10p程の穂状花序を上方に伸ばし黄色の小花を密につける。開花期には強い香りを発散する。 雄花序は長さ8〜12p、淡黄色で新枝の上部から上向きに伸び先端は垂れ曲がる。雄花は小形でガクは5〜6裂し雄しべは15個内外。 雌花花序は下部の葉腋から花穂を伸ばし少数の花がつき、花柱は3個。 |
西山町石地の御島石神社の裏のスダジイの林 写真2015.12.9石地 |
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新芽の出る頃 写真2013.5.11緑町 葉の形とつき方 写真2014.7.6緑町 果実期 写真2014.9.29新道 幹と枝 写真2014.9.29新道 大木 写真2014.10.11平井 西山大崎神社の大木 写真2017.2.16大崎 ビデオ資料→日本海側最北限のシイの林 |
果実は堅果で、長さ1.2〜2pの円錐状卵形で、はじめ殻斗に全体が包まれているが〔上写真〕、翌年秋に成熟すると殻斗は3裂し中から堅果があらわれる。殻斗の外面は小突起のある鱗片が横に並んでいる(上写真)。 材は建築材、器具材、皮は染料となり、果実は食用となる。 名前の由来は不明。別名ナガジイとも呼ばれるがこちらは果実が長いことによるとの説もある。 若木の樹皮 写真2015.12.9石地 花 期 写真 2020.6.21比角 幼果 写真2014.7.6緑町 果実と堅果 2014.9.29新道 落下した堅果 写真2014.10.11平井 堅果 写真20151212緑町 |