ネムノキ | |
暮らしとの関わり 石黒ではネムノキを「コウコノキ」と呼んだ。方言の語源は、漢名の「合昏」(ゴウコン)に依るものであろうか。 花は派手ではないが、近くで見ると絹糸状の花(雄しべの集まり)で高貴な印象を受ける。香りにも品がある。 芽吹きは遅いが、葉は羽状の優雅な姿で、夏、いかにも涼風を誘う風情が感じられる。いつであったか朝の山道で残月を背景にネムの花を観てしばし見とれたことがあったことを憶えている。→写真 昨年(2006)は石黒では害虫に因るものか気候に因るものか正常な開花は見られなかったが今年は美しい花が至るところで観られた。下の写真は花坂で7月30日に撮った。 石黒では、野ウサギによる被害が目立つ。 (2006.8.1下石黒 右下2004.10.22上石黒) 花期のネム 撮影日2007.7.30大野 背景左は地蔵峠 花期前期 写真2015.6.27中央海岸 花 撮影日2007.7.18上石黒 赤味の濃い花 撮影日2011.7.12寄合 花のつくり 撮影日2011.7.12寄合 庭木としても楽しめるネム 撮影日2016.7.16下石黒 若い果実のついたネム 撮影日2004.9.14寄合 果実期 撮影日2014.9.23板畑 嶽 葉を閉じた夕暮れのネムノキの葉 撮影日2011.7.11寄合 初冬の果実 撮影日2009.12.8上石黒 |
解 説 マメ科 本州から沖縄まで自生する落葉高木。 高さ10メートル近くに達するものもある。枝は、扇形に横に広がって張る。 葉は、柄があり互生で羽状複葉。羽片は7〜12対。小葉は36〜58個両方に対生して並んでつく(左下写真)。葉の裏は白味かがった緑色(下写真)。 夜は小葉が閉じて垂れ下がる(下写真)。 花期は7〜8月。小枝の先から花柄を出して散形状に薄紅色の花を多くつける。花は絹糸状の長い雄しべの集まりで、下の方が白く先の方はピンク色で美しい。開く直前の花は、しおれた状態のように見える(下写真) ガクは小型の筒状、花弁は合体し上部が5片に分かれる。長さはガクの約3倍(左下写真)。雄しべは細い糸状で多数あり基部はゆ着する。雌しべは雄しべに比べやや長く白い(左下写真)。多くの花の中央に一段の花弁の長い頂生花がある(左下写真)。この頂生花のみ蜜腺をもつ。 さく果(豆果)は長さ12pほど。豆果の中には平たい種子がある。 名前の由来は葉が夜閉じることによる。 芽吹き-1 撮影日2017.5.17大野 芽吹き-2 撮影日2011.5.14上石黒 芽吹き-3 撮影2009.5.31大野 ネムの葉 撮影日2009.7.6上石黒 白色を帯びた葉裏 撮影日2010.6.23大野 ネムのつぼみ 撮影日2005.7.9上石黒 開花前(下二つの花) 撮影日2011.7.11寄合 鞘と果実 写真2009.11.6上石黒 ネムの幹 撮影2005.8.30上石黒 ノウサギによる被害 撮影日2006.3.5下石黒 切り口〔約30年生〕 撮影日2007.7.5下石黒 冬芽と葉痕 写真2015.1.24安政町 |