キズタ
暮らしとの関わり
 キズタは夏季にはあまり目に留らないが、冬になると常緑の大型のツタであるためよく目立つ。
 数メートルも積雪のある山を歩くと、キズタの青々とした葉が目をひく、風雪に耐えるその艶やかな葉は美しく、春を待つ者には心引かれるところがある。
 しかし、大きいものは10メートルもの高さにまで達するので、昔から木にはい上がると生育を阻害するため、見つけ次第ナタで切った。
 ちなみに、キズタは宿木からの栄養吸収はしないとのことであるが、あれだけの常緑の葉をつけたものが絡みついているのだから木の成長の妨げになることは確かなことであろう。
 筆者は、自宅裏庭のキリの枯れ木に山から移植したものを絡ましていたが、中越沖地震の年に家改築のため除去した。それまで、ただ何となく見ていたが、開花と結実の時期が他の植物とずれていることが、この木にたいする自分の理解を混乱させていたのだった。その後、このサイトに掲載することになりようやく釈然としたという訳である。
 
(写真上2004.11.28 右下2005.1019下石黒)


              秋のキズタ

撮影日2011.10.11下石黒

         同一個体に見られる葉の形

撮影日2011.4.20落合

    ケヤキにはい上がったキズタ

撮影日2011.4.21落合

          春に熟した果実

撮影日2013.4.28矢田

解 説
ウコギ科
 本州から沖縄の山野に普通に見られる常緑のツル性低木
 茎から気根を出して木や岩にしっかりと付着してはい上がる〔下写真〕
 葉は互生し厚く表面は濃い緑色で光沢がある。
 葉は全縁で卵形(上写真)、または3裂したり5裂したりする(左下写真)。葉柄は長い。
 秋に小枝の先に短い花軸を出して球形の散形花序をつける。花は黄褐色、花弁は5個、雄しべ5個。
 果実は、冬を越して春に熟して黒褐色になる下写真



     11月のつぼみ期

撮影日2005.11.15.松美町

     1月の結実期

撮影日2006.1.4.松美町

     4月の果実期
撮影日2011.4.20松美町

  気根〔上左葉はツルマサキ〕


撮影日2013.4.28畔屋林道