キタコブシ | |
暮らしとの関わり 石黒でキタコブシと出合ったのは上の写真の木がはじめてである。落合集落と居谷集落の道沿いにあった。根元の幹の直径は30cmに近いが上部が雪のため折れてしまっていた。 黒姫山の南側の鵜川や清水谷方面には普通に見られる木であるのに石黒にはきわめて少ないのはなぜであろうか。 石黒には同種のタムシバは多くみられる。昔から村人はタムシバを「コブシ」と呼んで春の花として親しんできた。 今年の春〔2009.4〕に、石黒で唯一のキタコブシの木を見に行くと3年前に主枝が折れていたのが3年間で整った樹形を取り戻していた。→写真 昨日(2011.5.8)、今まで訪ねたことのない居谷集落の川下に向かったところ思いがけずキタコブシの太い木に出会った。 その木は2本は根元で合着しておりすぐ脇からもう1本が生えていた。落合の木に比べはるかに幹が太いものであった。石黒にもこのような立派なキタコブシの大木があることを発見してうれく思った。 居谷地区にあるキタコブシ→参考画像 〔写真上・右下2006.5.4落合〕 残雪の中のキタコブシ 撮影日2006.5.6落合 春霞のなかのキタコブシの花 撮影日2009.4.18落合 萼片の下につく一枚の葉(タムシバとの区別点) 撮影日2011.5.8居谷 地面を覆うこぶしの花びら 撮影日2011.5.8居谷 果実のつくり 写真2009.9.25落合 果実(集合果) 写真2009.10.14鵜川 写真2009.10.14鵜川 (図−浅野貞夫日本植物生態図鑑) |
解 説 モクレン科 北海道や本州北部の主に日本海側の山地に見られる落葉高木。コブシの北方型の変種とされる。 高さ8〜10mほど。コブシ同様折ると芳香がある。 葉は互生し長さは10〜17cm〔コブシは6〜13cm〕で先端は凸状。基部はクサビ形で短い柄がある。秋には黄色に紅葉する。 タムシバの葉と比較すると大きいことと先の方が幅が広いことで区別できる。 花期は4〜5月で花は葉が開く前にに大形花弁6片の花を開く。花弁は倒卵形で長さ6〜8p。色は白色に通常淡紅色を帯びる。花の直径は約10cm。 花の中心部に多数の雄しべが集まり葯〔ヤク−花粉袋〕は黄色〔上写真〕。この多数の雄しべの真ん中に多数の雌しべが、らせん状に並ぶ。花の基部の外側には小さなガク片と、その下に一枚の葉がつく(左下写真)。 果実は袋果が多数集まった集合果でいびつな長楕円形で長さは6〜15p。秋に熟して袋果が裂けて赤い種皮に包まれた種子を白い糸で下げる。 方向指標植物といわれふくらむ花芽が北を向くといわれる。 名前の由来は果実の形が握りこぶしににていること、北日本に自生することによる。 つぼみの中の葉 撮影日2011.4.21落合 幹の様子 撮影日2009.4.30落合 秋の黄葉 撮影日2008.11.12鵜川地内 |