イスノキ
暮らしとの関わり
 石黒では見かけない。本州西南部から四国、九州に自生するといわれているので柏崎市市街地でも稀にしか見られない。
 上の写真は四ッ谷の道路沿いの屋敷内に植えられた大木である。ここには数本が見られる。
 筆者は、高校の頃からこの木には漠然とした関心をもっていた。というのは、通学時のバスの窓から高い石塀越しに枝が手が届くほど近くに見えたからだ。
 ツバキの葉に似ているが花は見た記憶がないが葉に黄緑の玉がつく。当時、虫えいなど知らなかったが、ミズナラの虫えいを連想して、食べられるものであろうかなどと思ったことも忘れない。
 先日(2014.5.14)、ふと、あれはサカキではなかったと思い立ち、早速出かけた見た。葉の縁には鋸歯は全くなく形もサカキに似ているが、すでに花が終わっていて開花時期が異なる。花のつき方もサカキとは違うのでWEB上でしらべてみるとイスノキであることが分かった。
 イスノキは静岡、滋賀あたりが北限といわれているが、柏崎市では植栽とはいえ珍しい樹といえよう。
 近頃は、住宅街の木が、葉が屋根の雨樋に入るなどの苦情で次々に伐採されるのを目にして残念に思われてならない。最近(2013)では、国道八号線のバイパス工事のために伐採された茨目地区の大欅など、その近辺の景観をすっかり変えてしまった。

〔写真2014.5.17 四ッ谷〕


                 大木
写真2014.5.14 四ッ谷

              葉の様子
写真2014.5.14 四ッ谷

               種子散布後


               そう果-1
写真2015.2.17四ッ谷

            落下しそう果殻
写真2015.2.17四ッ谷

解 説
マンサク科
 本州西南部、四国、九州の山中に自生する常緑高木。大きなものは高さ20mに達する。樹皮は灰白色。
 葉は互生して形は長楕円形、先端は鋭く尖らない。長さ5〜8、幅2〜4pで全縁。表面には光沢がある。主脈ははっきり見られるが支脈は矢や不鮮明である。葉にはしばしば大きな虫えい(イスノキコムネアブラムシ)が見られる。
 花期は4月。花は葉のつけ根につき総状花序となり、上方に両性花、下方に雄花をつける。 
 花には花弁はなく、ガク片は3〜6個皮針形緑色で大きさは不同。外面には褐色の星状毛がある。雄しべは5〜8本で花糸は太い。雄花では雌しべは退化ているが両性花には1個ある。は赤く目だつ。風媒花
 子房は2室で外面には星状毛がある。花柱は2分する。さく果は木質,卵形、外面には密に毛がある。長さは8mmほどで2つに裂けて種子を放出する。
 材は乾燥すると非常に堅く丈夫なので家具や木刀、杖などに使われる。
 名前は、別名ヒョンノキ、ユスノキ、ユシノキなどがある。
 イスノキという名前の由来はこの木を材として櫛をつくることからユシノキがクシノキになまったもの、ヒョンノキはその虫えいを吹く時にヒョウヒョウとなる音によるものとの説がある。



       葉の表裏
写真2014.5.14 四ッ谷

虫えい(イスノキコムネアブラムシ)
写真2014.5.14 四ッ谷

      若い果実
写真2014.5.14 四ッ谷


      そう果-2

写真2015.2.16四ッ谷

         冬芽
写真2015.2.16四ッ谷