アラゲヒョウタンボク
暮らしとの関わり
 石黒では、きわめて稀に見られる樹木である。
 昨日(2016.3.30)に板畑の嶽に野鳥研究者のH氏と出かけたが、その途中の山道の土手に黄色い花を見て、ウゴツクバネウツギと思ったが開花の時期が早すぎる。疑問に思い同定のための撮影をして家に帰って調べると同じスイカズラ科であるがツクバネウツギとは明らかに異なる。
 WEB上で調べたところ、アラゲヒョウタンボクであることが分かった。それにしても、開花期が早い。
 今年は近年にない暖冬小雪であるが3月下旬の開花には驚いた。牧野図鑑には5月とあるがWEB上のデータでは殆どが4〜5月と記されている。また、ハヤザキヒョウタンボクの名前も見られるがこちらは包の形からして別種である。
 すると、暖冬の影響で今年は例年に比べて早い開花であったのであろうか。それにしても、樹木ではマルバマンサクに次いで花を開く樹木であることになろう。
 いずれいしても、78才の誕生日の前々日に、故郷石黒で初めての出会いがあったことに感謝せずにはおられない。
 2回目(2016.4.13)の観察以来、 やく1カ月半ぶりに昨日(2016.5.25)に3回目の観察にでかけた。 果実が熟し赤く色づくのは6月に入ってからと予想していたがすで色づいていた。
 
 観察地からの南方の眺望
 道上の斜面で観察していると「ポッポッ、ポッポッ」というツツドリの鳴き声に混じって、幼女の甘え声のようなアオバトの鳴き声が頻りにした。どちらの鳥も未だ姿を観たことはない。まだまだ故郷は筆者にとって無限の未知の世界である。

写真2016.3.30 板畑

             開花の頃 (2019.3.26)
写真2019.3.26板畑

          毛の密生した若葉

写真2016.3.30板畑

               若葉が開く

写真2016.4.13板畑

              花から果実へ写真2016.4.13板畑

         果実(枝を動かして撮影したもの)

写真2016.5.25嶽
解 説
スイカズラ科
 北海道から本州の山地に生える落葉低木で高さ2mほどになる。
 枝は灰褐色でほとんど無毛だが初めのうちは毛がある。
 葉は卵状楕円形で先端は次第に細くなってとがり、基部は円形。葉の長さは8p、幅4pほど。膜質でやや硬く両面や柄に粗い毛がある。下面はしばしば粉白色になる。
 花期は3月下旬〜5月に新葉とともに開花する。花は下向きにつき漏斗状で(上写真)長さ2p以上にもなり、基部にふくらみが見られる。色は淡黄色で5個の裂片は同じ大きさである。
 子房は2個ずつ離れて並んでいて毛がある。基部には卵形の先の尖った長さ1〜2pほどの大きさの包葉が2枚あるのが特徴である。(下写真)
 果実(液果)は球形で熟すると赤くなる。
 名前の由来は粗い毛があり、ヒョウタンボクに似ることによる。



      開花前
写真2019.3.26板畑

 2019年3月26日の風景

※左写真撮影の道路から南方の景観

      つぼみ
写真2019.3.26板畑

    大きな包葉
写真2016.3.30板畑

     果実期へ
写真2016.4.13板畑

      果実
写真2016.5.25嶽

    葉の表裏

写真2016.4.13板畑