ヨネヤマアザミ
 ヨネヤマアザミは、2011年に国立科学博物館の門田祐一教授によって命名された。和名は「ヨネヤマアザミ」、学名は「キルシウム・ヤナギタエ・カドタ (Cirsim yanagitae Kadota)」。
 発見者は小千谷市の柳田宏光氏で門田教授に同定依頼があったのは前年の2010年であった。
 標本により新種であると判断された門田教授は翌年の9月23日に来柏され、発見者の柳田さんの案内のもとに現地調査をされた。調査は青海川集落に始まり猿飛橋付近、東の輪町さらに北条中学校付近に及び数カ所の自生地での調査で新種であることが分かった。
 ヨネヤマアザミの特徴としては、
@花期に茎下部の葉が枯れる
A花が上向きに咲く
B頭花は小形で多数つく
 などがあげられ、トオノアザミに似るがトオノアザミと比べて、葉の切れ込みが深く、総苞片は15〜16列でが長くのびての先が尖り反曲するとのことである。(以上の記述 かたこ73号 門田祐一「ヨネヤマアザミ」参照)
 また、柏崎にも自生するダキバヒメアザミにも似るがこちらは名前のとおり下部の葉柄が茎を取り囲んでいることで区別できる。
 昨日(2014.10.7)東の輪の道路沿いのヨネヤマアザミの冠毛と種子の様子を観察した。すでに種子散布期に入った株もあったが、一株の九割以上の花冠(果実)の冠毛は糊で固まったようになっている。しかし一株に2〜3個の果実は種子が冠毛を開いて風に乗って散布する様子が観察された。これでは、風による散布の効率は極めて低いと思われる。門田教授は「かたこ73号-ヨネヤマアザミ」に「アザミの種は風散布ではない」と書いておられるが、あるいはこの事と関係があるのかもしれない。
 ヨネヤマアザミについての本ページをひとまず作成してみたがよく分からないことも多い。来年も花期前から観察をして改訂していきたい。また、本ページをご覧いただいた方々にお気づきの点を御指導いただきたい。

 ちなみに、ヨネヤマアザミと同様の経緯で発見された新種に「タンネアザミ」がある。本種は頭花が下向きに咲く。→写真

 ビデオ画像→ヨネヤマアザミと吸蜜するハチ

       (写真 2014.10.4 谷根町)


           分枝と頭花のつき方

写真2014.10.4 谷根町 現地説明会標本


                花期

写真2014.10.7東の輪町

          花期かに果実期へ

写真2014.10.7東の輪町


 ヨネヤマアザミ  ナンブアザミ
   
 写真2014.10.7東の輪町  写真2014.10.8下石黒
          
          つぼみから開花まで
  写真2014.10.7東の輪町

          ヨネヤマアザミ白花(左)

写真2014.10.4谷根町

            冠毛と種子の様子
  写真2014.10.7東の輪町

             根生葉(二番芽)

写真2014.10.7東の輪町(ヨネヤマアザミ群の中)

               晩秋の姿

写真2014.11.2東の輪町

                二番芽の開花
写真2014.11.2東の輪町

解 説
キク科
 2011年に新潟県柏崎市で発見された新種。
 柏崎地域では比較的海岸に近い地域に見られる多年草。 
 高さは70〜130pほど。花期には根生葉は枯れて脱落する。
 葉は広線形で縁は深く裂けて裂片の先は鋭く尖る。
 花期は。9〜10月。茎上部で分枝して多数の小型の頭花を上向きに咲かせる。
 花の長さ2.5p、頭花の径3.5pほど。総苞には粘りはない。総苞片は15〜16列で先が尖り反曲する。花の色は薄紫色のものが多い。
 花を刺激すると白い花粉を吹き出す。チョウやハチに効率よく花粉を運んでもらうため。また、自家受粉を避けるために、雄花の花粉が出終わる頃に雌花が開き他の花粉を受粉する。
 種子は冠毛は持つが(下写真)風散布ではないとのこと。
 


       花冠
2014.10.7東の輪町

  総苞の様子(15-16列)

2014.10.7東の輪町

 茎下部の葉は枯れて脱落
2014.10.7東の輪町

  二番芽(?)の全体の姿写真


2014.10.7東の輪町

  茎を抱かない葉の基部
写真2014.10.7東の輪町
写真2014.11.2東の輪町

     種子散布期

写真2014.10.7東の輪町

     冠毛と種子
写真2014.10.7東の輪町

 ほとんどの花の果実期の姿

写真2014.10.7東の輪町

横向きに咲いている二番芽の花
写真2014.11.2東の輪町