ツルニンジン〔ジイソブ〕
暮らしとの関わり
 石黒ではツルニンジンは多くは見かけない。子どもの頃に見た記憶もない。
 今でこそ、撮影を目当てに山を歩くと、春には時々出会うが、花の咲く頃になると藪が深くなるせいか出会うことは滅多にない。
 春には右下のような若芽に、度々出会うので、特に希少植物というほどではないと思う。
 根はニンジンのつく名に恥じず太い。花は厚ぼったいホタルブクロのようである。蕾も大きなガクで覆われ開花は二重の秘密ベールを開くようで興味深い。
 茎や葉から出る白液は切り傷に効くといわれるが、そのような言い伝えは石黒にはなかったようだ。
 別名はジイソブで、似た植物バアソブに対応してつけられたという。「そぶ」は木曽の方言で「そばかす」の意味だという。

(写真上・右下2005.9.17寄合 右上20059.2上石黒)


       他のものにからみついて上る姿

撮影2011.6.21下石黒

               花のつき方

写真2009.9.14上石黒

ツルニンジンの果実と種子
写真2008.11.12板畑

          ツルニンジンの根塊


写真2009.5.8寄合

 雄しべが枯れ落ちて雌しべが成熟した花〔左〕

写真2009.9.14上石黒

        花冠の基部にある距

写真2006.9.21上石黒

解 説
キキョウ科
 日本全国の山麓や山道沿いに生えるツル性多年草。草全体に独特の匂いがある。
 根はニンジンのような形の塊状。(左下写真)
 茎は蔓状で2m以上に伸び他のものにからみつく。茎を折ると白い乳液が出る。
 葉は短い柄があり互生し楕円形で長さ3〜10p。無毛で裏面は白色を帯び、枝先に4個ずつ固まってつく。〔下写真〕質は薄く軟弱。
 花期は8〜10月。花は側枝の先から1個ずつぶら下がる。花は鐘形で短い柄があり長さ3〜3.5p。花の先端は外側にまくれて内面には斑点がある。
 花には5個の雄しべがあり雌しべより早く成熟し、雌しべが成長する頃には雄しべはしおれる〔左下写真〕。このような雄性先熟自家受粉を避けるため。
 種子には片側にがある。(左下写真)
 名前の由来は根が朝鮮人参のようになり茎がツルであることによる。



    ツルニンジンの若芽

 写真2009.4.29下石黒〔少雪〕

写真2007.5.18上石黒

  ツルニンジンの葉裏

写真2007.5.18上石黒

       つぼみ

        開花へ

写真2010.9.21上石黒

      花冠横姿

     5個の雄しべ

        雌しべ

写真2010.10.1上石黒

写真2008.11.5上石黒