ツリフネソウ | |
暮らしとの関わり 石黒では「スモットリバナ」とか「ヤマホウセンコ」と呼んだ。「相撲取り花」「山鳳仙花」という意味である。 子どもたちは、この花を絡ませてお互いが引っ張って遊んだ。〔方言名スモットリバナの方言の由来はこの遊びにあるのかも知れない〕 また、熟した果実を採って手のひらの上で触ってはじける様子と感触を楽しんだ思い出がある。 ツリフネソウは、沢沿いや谷地の半日影の湿った所に群生が見られる。上石黒の地名「オオクラ」付近で相当大きな群生をみたことがある。(参照画像)しかし、今年(2009.9.14)に訪れるとツリフネソウは激減してまばらに見られるばかりであった。 キツリフネの群生と隣り合って生えているところもある。 また、濃い紅色の花(右下写真)もあれば希に白い花もある。→シロツリフネソウ 参考資料→キツリフネ、シロツリフネソウとの比較 今日〔2014.9.23〕嶽で、薄紫色の花冠の個体と出会った。〔下写真〕ツリフネソウは純白のものから、桃色、赤紫色、薄紫色と変化に富む花を見せてくれる植物であることを知った。 (写真上・右上2005.9.14上石黒 右下2005.10.7下石黒) ツリフネソウ草姿 撮影2006.7.20下石黒 葉の形(※左はキバナツリフネ) 撮影2006.7.12下石黒 透明感のある茎 撮影2010.6.18下石黒 真上から見た草姿 撮影2005.9.9落合 花のつくり(1) 撮影2009.9.12大野 薄紫色の花冠の個体 写真2014.9.23板畑 嶽 |
解 説 ツリフネソウ科 北海道から九州の湿ったところに生える1年草。時には群落をなす。 茎は、直立して分枝し高さは、50〜80cm。多汁質で滑らかで透明度が高く、毛はなく赤みを帯びるものが多く、節がふくらむ〔左写真〕。 葉は柄をもち互生し、長さは5〜15cmで、縁に小突起のある鋸歯がある(左下写真)。 花期は7〜9月。茎の先に3〜4本の花柄をつけ数個の紅紫色の花をさげる。長さ3〜4cm。 花のつくりは、ガクは上から見える2枚と後ろの袋状で円く巻いた距を持つ後ガク片(下ガク片)が1枚で合計3枚。 花弁は前上方に伸びたもの(旗弁)が1枚、下側左右のもの(翼弁)2枚の合計3枚。しかし、下側左右の花弁は2枚が合着したものであるので正確には5枚(左下図)。 花の内部には、濃紫色の突起が多数ある。 5個の雄しべの花糸は連合している。雌しべは1個。 花の奥の管の部分に蜜があるため虫たちが奥まで入ろうとすると虫を包み込む状態になり花粉が虫の背中に付く巧みな仕組みになっている。雄性先熟で雄しべが先に熟し花粉を出す(自家受粉を避けるため)。 さく果は細い紡錘形で(上写真)熟すと果皮が勢いよく裂けて種子をとばす。 名前の由来は、細い柄にぶらさがっている花の姿を帆をかけた船に見立てたものという説や活け花で使う釣船型の花器に見立てたものだという説もある。 ツリフネソウ若芽 撮影2009.4.24下石黒 葉の表裏 撮影2010.6.18下石黒 茎断面 撮影2010.6.18下石黒 花のつくり(2) 撮影2009.9.12大野 果実期へ 撮影2018.10.2下石黒 サヤからはじけ出た種子 撮影2009.10.7大野 虫えい・ツリフネソウコブアブラムシ 写真2009.10.10下石黒−政栄 薄紫色の花冠の個体-2 写真2014.9.23板畑 嶽 |