トウバナ
暮らしとの関わり
 シソ科の野草は似たものが多く、筆者には区別が難しい。
 石黒で、よく似た数種の野草に出会い、現在、観察中であるが上の写真はガクの長毛、葉裏に腺点がないこと、草丈、花の形からトウバナと同定した。御指導を仰ぎたい。
 トウバナは「塔花」で、三重塔や五重塔に見立てた名前と言われているが、昆虫の目で見れば堂々たる塔に見えるであろう。
 ところでこのように、昆虫などの小動物の目に映る自然界を想像することは、興味の尽きないものである。
 我々は自分の目に映る姿が唯一真実の世界と信じて疑わないが、時には、同じ惑星上の同胞である昆虫たちの目線で、自然界を見ることも楽しいことではないか。それができるのは我々ヒトだけであろうから。
 そんな世界を生き生きと表現した文芸作品に宮沢賢治の「やまなし」がある。

写真2005.6.26上石黒 


                花期

写真2005.9.17下石黒 

                 葉
写真2009.5.30下石黒

解 説
シソ科
 日本全国の各地のやや湿った道端などに見られる多年草
 茎は細く基部で枝分かれして這い、先が立ち上がる。長さ10〜30p。
 葉は対生し卵形で長さ2〜3p、幅8〜20o。縁には鋸歯があり短い柄がある。毛はほとんど無い。
 花期は5〜6月。茎の先端に花穂をつくって数段輪状につける。
 小花は短い柄のある唇花で淡紅紫色で長さ5〜6o。上唇に比べ下唇は長く大きく、3裂している。花の中にまばらに短毛がある。雄しべ4個のうち2個は長い。
 クルマバナに似るが、下唇が小さい。また、酷似するイヌトウバナは葉の裏に腺点がありガクには長毛があることで見分けられる。
 ガクは長さ3〜4oで5裂し短毛がありしばしば赤味を帯びる。

 果実は4個の分果からなり分果は滑らかで扁平な球形で長さ0.6o。
 名前の由来は花穂を三層、四層の塔に見立てたもの。



         茎

写真2005.9.17下石黒

写真2009.5.30下石黒