タウコギ
暮らしとの関わり
 昔は、田の畦などを覆うように生える害草として憎まれた草である。
 その強い繁殖力は、一株につく頭花は100〜200、一つの頭花にできる種子は100ほどでり、散布される種子は1〜2万個であることから十分想像できる。種子には逆棘があり、衣服に付着するとなかなか取れない。
 だが、あの鋭い逆棘が散布の効率をどれくらい高めているものであるか、という疑問が記述中に脳裏をよぎった。ヒトや獣や鳥を媒介体と考えても、散布範囲は広がっても、それほど効率が高いとは思われない。筆者の経験ではタヌキなどの毛にはこうしたヒッツキ虫といわれるソウ果も付着しにくい。
 むしろ、昔の水田には常に水が張ってあったので、特に稲刈り後の田の水面上を漂って、排水路へも流され出て他の田に流れ込んで広く散布されたものではなかろうか。
 こうした疑問も小さな休耕田などを利用して実地に調べて見たいものである。(2011.8.2)
 また、若芽は食用になるといわれるが石黒では食べたという話は聞いたことはない。
 アメリカセンダングサに似るが筆者の観察では、ソウ果が平たいことと、小形であることと茎が円柱形で紫色が薄いことも区別点になる思う。

〔写真上2006.6.14上石黒・右2005.9.18落合〕


             若草

写真2006.7.3下石黒

     タウコギの茎と根

写真2007.10.3下石黒

            種子の逆棘

写真2006.10.14下石黒

解 説
キク科
 日本全国の水田の畦や湿地に多い多年草
 茎は円形〔似ているアメリカセンダングサは四角〕枝分かれして高さ20〜150p。分枝し無毛。
 葉は対生し柄があり、3〜5裂し裂片に鋸歯がある。上端の葉は裂けていない。中ごろ葉の柄は少しがある〔下写真〕。葉の長さ5〜13pで3〜5裂する。
 花期は8〜10月で小枝の先に黄色い頭花をつける。舌状花はなく外側の総包片は10個あり大形で柄がある。
 そう果は幅広く扁平な狭倒卵形のクサビ形で、逆トゲのあるトゲ状の冠毛はふつう2個ある。このトゲで他物にくっついて種子を撒布する。
 センダングサ類との区別点はそう果が平たいことと普通2本の冠毛があること。
 名前の由来は田に生えるウコギの意味であるがウコギとの共通性は不明。



      葉柄の翼

写真2007.10.3下石黒

       果実期へ

写真2005.9.18落合

          根
写真2007.10.6下石黒


※比較アメリカセンダングサの花冠→タウコギに比べ細長い球形→上写真と比較

写真2007.10.1下石黒