タヌキモ
暮らしとの関わり
 タヌキモには、石黒で、今まで一度しか出会っていない。
 写真の個体は大野から板畑にいたる車道山側の棚田の最上位にある用水池の中にあった。一面のヒシの中に一頭のキチョウが羽を休めているかのように見えた。近寄ってみるとタヌキモの花であった。
 石黒の多くの池〔農業用水池〕は、近年、ヒシが蓋をしたように繁茂しているものが多くなった。おそらく、希少のタヌキモは更に減少しているのではなかろうか。
 タヌキモの花は、厳密にいって、根も茎も葉も無く、水中のミジンコなどを補食するという不思議な野草の花にふさわしく、どこか神秘的な印象を受ける。→写真
 先日(2016.8.16)久しぶりに早朝、自転車で畔屋の奥まで出かけた。チョウトンボの今年の様子を観察するためだ。チョウトンボは本サイトに掲載されている多くの写真を撮った頃に比べると激減している。筆者の観察では当時と比べてヒシが水面の全体を覆ってしまっているように見えた。それと生息数の激減と関係があるように想われるが、よくわからない。
 ところが、この日の思わぬ出会いがあった。タヌキモと10年ぶりに出会ったのである。初めての出会いは、故郷石黒の用水池であったが、以来、出会いを期待していたが遂に10年間その機会に恵まれることはなかった。
 近いうち花期中に、もう一度訪れてみたいと思っている。
 前回、訪れてから20日ほどたってしまったが、2016.9.6の今日、タヌキモの花に逢いたくて畔屋の池を訪れた。幸い花期は終わらず再会できた。10年ぶりのタヌキモとの出会いは何度訪れても感動する。

〔2006.9.22板畑〕


              つぼみのころ
写真2016.8.16 畔屋



             ガク

写真2006.9.22板畑

            自生地

写真2006.9.22板畑

                花と茎根
写真2006.9.22板畑
解 説
タヌキモ科
 日本全土に分布。根をもたず池や沼などに浮遊する食虫植物
 厳密にいうなら、茎や葉も持たない。
 茎状器官は長くのび枝分かれする。葉状器官互生し、多数の捕虫のための袋ををもつ〔上写真〕
 この捕虫袋の中にミジンコなどの微生物を吸い込んで栄養とする。〔微生物を吸い込む仕掛けは、袋は通常低圧状態に保たれていて入り口にアンテナのようなヒゲがありこれに微生物が触れるとテコの原理でドアが開いて低圧状態の袋の中に水とともに吸い込まれる〕
 花期は7〜9月。10〜20pの花茎を伸ばし径1.5pほどの花をつける〔左写真〕
 花は結実せず、球形の越冬芽をつくり水底に沈んで冬を越す。
 名前の由来は尾のような全体の形によるもの。



     タヌキモ花-2


写真20016.9.6 畔屋

      タヌキモ花-2

写真2006.9.22板畑

   畔屋の池の個体の花

写真2016.8.16 畔屋

        捕虫袋
写真2016.8.16

          越冬芽
写真2016.8.16