ソバナ
暮らしとの関わり
 石黒では、昔から「フキタチ」とよ呼び、若芽を山菜とした。味はツリガネニンジンにくらべて、さっぱりした食感である。また、茎を折るとやはり白い乳液は出るが、茎が中空である所がツリガネニンジンと異なる。
 また、ソバナは、ツリガネニンジンのように多くの場所にみられる植物ではなく、石黒では、主に大野集落の西側山(地名あかげ)の山腹や城山など、筆者の知るところでは自生場所は限られているようだ。
 来春(2011)は是非、改めて若芽等を撮影したい。
 先日(2011.6.13)城山のヤマボウシの大木を訪れた時に途中で一株のソバナと出会った。場所を憶えておくための目印を付けて来たので8月の花期には是非訪れて見たいものだ。

〔写真2010.6.18 寄合 右上の下2009.9.13寄合〕


           6月のソバナ

写真2011.6.13 下石黒

                  花期

写真2014.8.13 下石黒

 5個の雄しべ  花冠より短い花柱
   
    撮影2014.8.13下石黒 政栄
                 
                  全体の姿

2014..6.20下石黒

※関東管理局のホームページにはソバナについて次の様な興味深い記述がみられる。http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/aizu/present/
present1_20/20.html
「この植物にヤマソバという方言がある。よく知られているように、山村の住民は、昔からこの植物の若菜を茹でてお菜や汁の実にしたり、飯に混ぜたりしたりして食べるが、歯切れがよく、美味である。『宣禁本草』という、寛永6年(1629)にわが国で板行された編者不明(曲直瀬道三の編者という説もある)の本の中に、この植物について「人家収為ニ果菜一、蒸切作二羹粥一」とある。これによってみると、昔はこの菜を蒸してから、これを切り、かゆ(羹粥)につくったというから、まさにソバ(蕎麦)の食べ方と同じである。だからソバナの名は蕎麦菜と解すべきであろう。ソバナは一ヶ所で大量に採取できるという利点があり、単に副食としての用途だけでなく、飢饉のときなど、蕎麦の代用品として主食同様に用いられたものと思われる。」

         
山菜として昔から食された

2014..4.27下石黒

      
解 説
キキョウ科
 本州から九州までの山の斜面の草地に生える多年草
 茎は中空(下写真)直立し時には枝分かれして上は傾き、高さ50〜100p。
 葉は互生(左上写真)、葉柄があり形は卵形または長楕円形で先端は尖り、縁には鋸歯がある(下写真)。 長さ5〜20p、幅3〜8p。 花期は8月。茎上部に紫色の先の開いた釣鐘形の花を垂れ下げたようにつける。(左下写真)
 花冠の長さは2〜3p、ガクは緑色で皮針形で先は尖る。花の中には5個の雄しべと1個の雌しべがあり花柱は花冠より少し短い。(左下写真)
 さく果は扁円球形で鮮明な縦脈があり宿存ガクをもつ(上写真)
 若い茎や葉は山菜となる。
名前の由来は蕎麦菜で若い草姿が蕎麦に似ることによる。また、その他、「急な崖−そば」に生え食用になることによるなど諸説がある。



      若葉の頃

写真2014.4.27下石黒  政栄

写真2011.5.18下石黒

  葉の縁の鋸歯と先端
写真2010.6.18

    茎を折ると出る乳液

写真2014.4.27下石黒  政栄

     果実期の様子
写真2014.9.23下石黒  政栄

       果実と種子

写真2014.10.23下石黒