センブリ | |
暮らしとの関わり 石黒では、センブリは昔から薬草として親しまれた野草である。どこの家でも一握りほどを毎年採取して陰干し保存して置いて健胃剤として用いた。 採取時期は、花の部分が最も苦みが強いといわれ開花期が最適とされた。 しかし、センブリは、赤土などの痩せ地を好み生育地も限られているため石黒では少なかった。 とくに、当時(1955頃)に比べ、現在は激減していて容易に採取できない。 原因は、屋根葺き材としてのカヤ刈りや牛馬の餌用の草、堆肥用、干し草用の草刈りが行われないようになったことにより、1年目のロゼット状時の生育環境が悪化したためであろう。 上の写真は10月の下旬に大野の花坂用水路付近で撮影したものである。花は小さいが非常に美しい。 先日、センブリの自生地を訪ねてみると、冬を越した幼苗が大きく成長していたが葉を虫に食われたものが数株見られた「蓼食う虫も何とやら」こんなに苦い草を好んで食べる虫もどうやらいるらしい。→参考画像 資料→子どもの頃の薬草の思い出 (写真2005.10.29大野) 実生-1 写真2013.4.26 −観察のため播種したもの 実生-2 写真2014.5.25 −観察のため播種したもの 成長期 写真2013.8.26栽培観察 つぼみ期 写真2013.9.20栽培観察(大野の個体の種子) 花期 写真2012.10.30茨目 開花直前 写真2009.10.14大野 花 期 写真2005.10.29大野 花期の自生の様子 写真2008.10.6大野 離弁花に見えるセンブリの花 写真2005.10.29大野 合弁部分の拡大写真 写真2009.10.14大野 裂片基部の腺体(蜜腺溝) 写真2009.10.14大野 吸蜜するヒメヒラタアブ(蜜腺溝の位置がわかる) 写真2013.10.29 秋の幼体−1 写真2012.10.30茨目(左上はヒカゲノカズラ) |
解 説 リンドウ科 北海道南部から九州の日当たりの良い草地に見られる二年草で1年目はロゼット状で越冬する(左下写真)。 根は枝分かれして黄色である〔下写真〕。 茎は四角形で〔下写真〕枝分かれし暗紫色を帯び(下写真)高さは20〜40p。 葉は対生し細く線形で長さ1〜4pでしばしば紫緑色を帯びる。 花期は9〜10月。枝先に白色の花をつける。花は離弁花に見えるが、合弁花で〔左下写真〕通常は深く5裂するが4裂の花もある〔下写真〕。ガク片は5個あり線形で尖る(下写真)。 裂片には紫色の筋が入り基部近くには長毛に覆われた2個の腺体がある〔左下写真〕。雄しべは5個、雌しべは1個。 さく果は細長く熟すと2片に裂ける。 全草が苦く、秋に全草を採って陰干ししたものを煎じて健胃剤として用いる。 名前の由来は千回湯に振り出しても苦いことによる。 幼体 2013.4.11(大野の個体種子) つぼみ期 写真2013.10.8茨目 横から見た花冠 写真2009.10.14大野 四角の茎 写真2009.10.14大野 対生する葉 写真2013.7.5大野 線形で尖ったガク片 写真2012.10.15大野 5裂した花と4裂の花 写真2009.10.14大野 黄色の根 写真2007.10.20大野 種子〔径約0.2mm〕 撮影日 2012.3.7 草全体の姿 写真2008.10.20大野 |