オシャグジデンダ

暮らしとの関わり
 11月の末、初雪の消えた石黒川の渓谷に下りてみると径1mもある広葉樹の根元の幹に生えている小形のシダが目にとまった。近づいて見ると鮮やかで美しい形をしている。家に帰って調べてみるとオシャグジデンダというシダであった。夏落葉性であるというから未だ若い葉なのであろう。
 それにしても、今まで見かけなかったので石黒では希な植物であると思われる。
 昨日〔2012.4.10〕例年に比べ多い残雪の中、屋号「かんぼうし」の田から城山を少し上ると、コナラの老木に生えたオシャグジデンダに出会った。晩秋にタキノフチ〔下石黒〕で見たものに比べて葉の緑色がやや薄かった。
 昨日〔2012.5.24〕、乾いてゼンマイ状になった葉の胞子嚢を顕微鏡で観察した。胞子〔約30um〕はすでに散布された後のため数個しか見られないが、開いた胞子嚢がへら状に見えた〔右下写真〕。更に観察してみたい。
 今日(2013.1.23)に、除雪のため石黒に行き、夕方、石黒川沿いの崖にある、オシャグジデンダの生えたコナラの木を訪れた。真冬の個体の様子を観察するのは初めてだ。しかし、木の両脇が雪庇となっていて川に崩落する恐れがあるので間近での観察はできなかった。〔この日の積雪230cm〕
 秋の個体と写真を比べて見ると冬から春の葉の色は、ほんの少し黄色を帯びているように思われる。
 今日(2015.11.26)石黒の畑に大根の収穫に行った。筆者の生家跡の堀切沢の斜面にあるブナの大木の中程にオシャグジデンダが生えている事を始めて知った。秋のころから見ていたのであるがこの木の基部にはジュウモンジシダが生えていたので同様のものと思いこんでいた。今日、望遠レンズを通して見て初めて知った。→写真
→参考画像
→ビデオ参考画像
 写真2011.11.29下石黒


             自生の様子


写真2011.11.29下石黒

           ノキシノブとともに

写真2011.11.29下石黒

             真冬の様子

写真2013.1.23下石黒


写真2014.2.12下石黒

             残雪の中の様子

写真2012.4.10 下石黒城山麓

     乾くとゼンマイ状に丸く巻く葉の軸@

写真2012.5.22下石黒

     切り取った葉が乾燥した姿

採取2012.5.24下石黒

解 説
ウラボシ科
 全国の山地の林中の日陰地の樹幹や岩上に生える。湿った場所を好む冬緑性着生多年草植物で初秋に葉を生ずる。
 根茎は長くはい太くうすい褐色の鱗片を多くつける。(下写真)
 葉はまばらに出て10〜20p。幅は5p内外。一回羽状に分かれ、先端は急に狭くなる。羽片は15〜20対、狭い線形で先はやや尖る。柄は細く鱗片はほとんどない。葉裏には長毛があるが落ちやすい。
 胞子嚢群は円形で羽片の中肋と羽の縁との中間につく。乾くと葉の軸がくるりと巻いてゼンマイ状になる特性がある〔左下写真〕
 名前の由来は最初に発見されたのが長野県の木曽地方の社貢寺(しゃぐじ−同名の寺は現存しない)であることによる。「テンダ」はシダの古名。
別名オシャゴジデンダ。



      葉の大きさ
写真2011.11.29下石黒

       根茎

写真2012.4.10下石黒

    全体の様子

写真2012.4.10下石黒

       冬の様子
写真2014.2.12下石黒

乾いてゼンマイ状に巻く葉軸A

写真2012.5.22下石黒

   葉裏の軟毛と胞子嚢
写真2011.11.29下石黒

      胞子嚢
写真2012.4.10下石黒

 胞子と胞子散布後の胞子嚢

顕微鏡写真 2012.5.24