オオウバユリ | ||||
暮らしとの関わり 石黒では、「ヤマッカブ」と呼んだ。 オオウバユリは、林の入り口など湿った窪地の日影に多く見られる。早春、残雪の中で開いた艶やかな若葉が目を引く〔参考画像〕。 見るからに、葉も茎も花も雄大な感じがして、独特の風情をもった草である。 だが、あらためてよく観察すると、花は芳香もあり茎は太くしっかりとして真っ直ぐであり、言うなれば「男勝りの女のような」とでも形容したい草花である。 いずれにしても、昔から、「かわいい花、美しい花」としては、愛でてもらえない不遇な(植物にとっては幸運か)草であったことは事実であろう。 子どもも、ヤマユリの花は我先に手折ったが、ウバユリの花を手折る者はいなかった。 若芽は山菜となり、球根からは良質な澱粉がとれるという。 古老の話では、石黒でも昔から飢饉の年には、この大きな球根が救荒植物となったという。 今(2009.4)、オオウバユリの若芽をいたるところで見かけるが葉脈が赤いものと緑色のものがある。単なる個体差なのか種類が異なるのか調べてみたい。(右下写真) 2010.4.19に上記の両個体の葉を比較してみると下記の写真の個体は葉脈の紅い個体は先端が丸みを帯びているが、多くの個体を観察するに両方が葉の先の形は変化に富むことが分かった。また、鱗茎を掘り起こして観察してみたが特に相違点は見られなかった。今後も花やさく果についても比較してみたい。 ※ また、葉の形がウバユリの葉に近い個体も見られるが茎の高さなどには相違がないのでオオウバユリの変異と判断している。ご指導を仰ぎたい。 (写真上2005.7.8上石黒 右上2005.7.31大野 右下2004.9.4下石黒) ブナ林の中の若芽 写真2006.5.13下石黒 つぼみから開花直前までの花冠の変化 写真2012.7.29畔屋 開花前 写真 2019.7.24 餅粮 開花へ 写真 2019.8.4 上石黒 下向きのめしべとおしべ
オオウバユリの群生 写真2009.4.18 泊山 政栄 オオウバユリの根茎 写真2009.4.18 寄合 赤い葉脈の個体との比較 写真2007.4.22 下石黒 葉の形の比較 鱗茎の内部〔よこ・縦切断写真〕 写真2007.4.22 下石黒 |
解 説 ユリ科 多年草の大形植物、やや、寒冷を好み、本州中部のブナ帯以上の高山から、北は北方領土まで自生する。(母種のウバユリは西南日本の低山地) 形態は、ウバユリと酷似しているが、相違点は、名前の通り大型であることと葉が丸みを帯びていることである。(左下※) 鱗茎は白く大きいが2〜3個の根出葉の基部がふくれて重なったもの〔左下写真〕。開花時にはすでになくなっている。その代わりにその周囲にいくつかの白色の小さな鱗茎がつく。 茎は緑色で太く滑らか中空で高さ1m50cmにも達する〔写真下〕。 葉は平らに開き葉柄は長く楕円状心臓形で網状脈があり艶がある。 花期は7〜8月。茎の先に緑白色のテッポウユリ似た花を8〜15個ほどつける。長さは10p内外で内面に褐色の斑点があり先はあまり開かない雄しべは6個、長さ不同で葯は淡褐色〔左写真〕。 果実〔さく果〕は、上の写真のような楕円形で秋には、実の上が開き中の薄い種子が風に乗って飛び散る。 種子は扁平で膜があり長さ10〜13o。種子は、果実の中に糸を張ったような仕切りがあるため一度に飛ばず徐々に飛び散る〔下写真〕。 名前はオオウバユリであるがウバユリに比べ特に大型とは断定出来ないという調査結果もでている。 オオウバユリの茎の断面 写真2005.7.9上石黒 ツボミと鱗片状の上部の葉 写真 2019.7.24 下石黒 幼 果 写真2019.7.24 下石黒 オオウバユリの種子 写真2008.11.6 下石黒 葉の葉脈の色の違い 写真2009.4.18 泊山 葉 表 葉 裏 写真2009.4.18 寄合 群生 (人物 政栄氏) 写真2009.4.18 泊山 記録的小雪 葉の落ちた後の茎 写真2007.12.22 下石黒 |