ノササゲ(キツネササゲ) | |
暮らしとの関わり 石黒では普通に見かける。とくに山道の縁の低木に巻き付いたノササゲをよく見かける。 花の時期よりも秋に鮮やかな紫色の実を下げたノササゲが目をひく。果実のさやの色も淡紫色から濃紫色まで変化に富み、何れも美しい。 ところで、種子が、割れてねじれたサヤからなかなか離れないのはなぜであろうか。マメ科の草はツルアズキのようにサヤがはじけることで種子を飛ばすものが多いのにノササゲの種子は真冬になってもついたたのものを何度か見かけた(下写真)。サヤははじけてねじれるのでタネは容易に脱落すると想われるのだが・・。 その目的は、鳥に果実を見せびらかしてサヤを食べてもらうか、くちばしで突つかせで種子を少しでも飛ばせる戦略ではないか、だが、鳥に食べられて消化してしまってはおしまいだ。もしかすると鳥に消化しにくい特別な種皮に被われて居るのかも知れない。飼い鳩を使って調べられないか、などと考えるのも楽しいものだ。 牧野図鑑に「本種は通常、山地に生え原野には生えないのでノササゲは適当ではないから、キツネササゲに改名した」とある。 今日(2014.10.29)平井の山で果実のよくついたキツネササゲに出会った。家に帰って写真を見ると虫の穴らしいものが見られ中に昆虫の脚らしきものがのぞいている。ヤマフジなどの豆果にもこうした穴がよく見られるが、じっくりと観察してみたいものだ。 今年(2016)の石黒の生家跡の小路にノササゲのツルが通る人の体に触れるほどの位置にぶら下がっている。誰も、それを取り除かないところをみると、何か見る人に雑草として取り去るには勿体ないという魅力があるのかもしれない。とうとう、このキツネササゲは12月の初めになってもぶら下がったままであった。 (写真2006.9.7〜10.1 寄合) つぼみ 撮影2008.9.1下石黒 花期 撮影2008.9.14下石黒 幼莢 写真2016.9.3下石黒 美しい紫色の果実 |
解 説 マメ科 本州、四国、九州の林の縁などに生えるツル性の多年草。 茎は紫色になり針がね状に長く伸びる〔下写真〕。 葉は互生し長柄があり3出複葉で小葉は長卵形で裏が粉白色で短毛がある(下写真)。頂小葉がやや大きく長さ5〜10p、幅3〜4p。小托葉は針状長さ1o〔下写真〕。 花期は8〜9月。葉のつけ根に数個の黄色い蝶形花を集めてつける。花序の長さ2〜5pで柄があり、花の長さは15〜20o。 ガクは筒状で斜めに切れほとんど無毛〔下写真〕。花弁はすべてほぼ同じ長さ。旗弁の基部には内面に耳状の突起がある。 豆果は無毛で熟すと紫色になる。種子は3〜5個。黒色で球形。〔左写真〕 名前の由来は野のササゲの意味。別名キツノササゲ。 つるの様子 撮影2007.10.2下石黒 撮影2010.9.1下石黒 小路に垂れ下がったノササゲ 写真2016.8.26下石黒 花拡大と筒形のガク 撮影2005.10.3下石黒 トゲ状の小托葉 撮影2007.10.2下石黒 粉白色の葉裏 撮影2010.10.1下石黒 果実が色づく頃 写真2016.9.15下石黒 豆果 写真2014..10.29平井 種子(虫の侵入穴らしきものあり) 写真2014..10.29平井 |