ノビネチドリ

暮らしとの関わり
 ノビネチドリは石黒では近年見かけることはなく、絶滅したのではないかと案じていたが、政栄さんが探し当てた。
 写真のものは若い個体であり、花穂はもっと伸びるであろう。ツレサギソウに比べて何といっても花の色において勝る。
 ノビネチドリは、石黒では現在、おそらく絶滅寸前の植物のひとつであろう。美しい色の花が多くつき茎は直立し葉の形もよく山野草愛好家には、鉢植えにして眺めたい花の一つである。このことが絶滅危機に追いやった主なる原因となったに違いない。
 イビネチドリなどの希少植物が似非野草愛好家によっていかに多く乱獲されたかは全国的に明らかな事実である。

写真2010.5.23大野 撮影 政栄


               花序

写真2010.5.23大野 撮影 政栄

         ノリの曲がり

写真2010.5.23大野 撮影 
政栄

  
解 説
ラン科
 四国から北のブナ帯などの林床に生える多年草
 根は少数でひも状白色で横にはう(左下写真)
 茎は直立して、上部にはがあり緑色で5〜6枚の葉をつける(左下写真)
 葉は互生し楕円形または広楕円形で長さ10pほどで基部は丸い。葉には3〜5脈が明確で縁は多少波うって曲がり(左上写真)質は柔らかい。
 花期は5〜6月。茎の先に荒く大きな総状花序を出して淡紫色の小花がかたまってつく。花下の包葉は狭い皮針形でとがり、下方のものは花より長い〔左下写真〕
 花はやや小形で花被片は小さく狭卵形をし、外花被の背側の1個は鈍頭、その側片と内花被とは尖っている(上写真)
 唇弁は長さ5mm内外で倒卵状楕円形で下部は次第に狭まりくさび状となり先端は3裂する。は細く短く先端は鍵の手状に曲がる(左写真)
 名前の由来は、根の伸び走る〔塊根が掌状に分裂しない〕チドリソウの意味。



    横に伸びる根

 写真2010.5.23大野
 政栄