ニラ
 石黒ではあまり見かけないが、市街地周辺では野生化したニラを多く見かける。野生化したと言うよりも人家の周りで越出したという状態のもの、と言う方が正しいかもしれない。奥山の山道付近のやぶの中でもしばしば見られる(上写真)。
 筆者の子どものころから石黒で出会った記憶はない。栽培もされていなかったと思う。石黒では野生のアサツキの若葉をニラの葉のように食材として使った。香りはアサツキに比べるとニラは少し強烈というか癖があるように筆者には思われる。食べなれないせいであろうが・・・。
 とはいえ、昭和の後期には石黒でも栽培されていた。昭和60年代と思うが、春に大野集落を通ると、畑でニラの葉をセンゼ(屋敷内の畑)で摘んでおられた所(屋号きぜん)を通りがかり見せてもらった。越出したものと比べて別種のように葉の大きいのに驚いた。折り取ったか切り口から露のような液体がにじみ出ていて畑にニラの香りが漂っていたことも覚えている。
 ニラは、古代から栽培されて食材とされてきた歴史があり日本人には古くからなじみ深い野菜であった。もともと日本に自生していたという説と弥生時代に中国より渡来したという説があるという。
 いずれにせよ、直立する花軸を束生させるニラの草姿とその清楚な花には人の目を引く魅力がある。

 参考画像→つぼみ期から種子散布期までの草姿

写真2009.8.26 畔屋


                花期-前期

写真2016.8.16 畔屋

                花期

写真2007.8.31下石黒

                群生

写真2012.9.25下藤井

             種子散布期
写真2010.11.8下石黒


解 説
ユリ科
 本州から九州で、栽培ないし野生化して分布する多年草。古代の渡来植物か日本自生種かは不明。
 現在では野生化しているものを普通に見かける。
 鱗茎は卵形で外面は葉が枯れて残った繊維で包まれている。
 葉は二列に並び立って幅は4mmほどの細い線形で扁平。
 花期は、8〜9月、30〜40pの花茎を伸ばしその先端に散形花序をつける。
 花は径6〜7mmで柄があり散形に密生して付く。花弁は6枚のように見えるが3枚は(下写真)花冠は平開し長楕円形披針形で先が鋭く尖り、色は純白。
 雄しべは6個で花被片より少し短い、は黄色。
 さく果は倒心臓形で3片に裂開して6個の黒い種子を出す。
 名前の由来は、古代に「美良-みら」という名で呼ばれていて、これがが転じて「にら」となったのではないかという説がある。



     つぼみ〜開花へ-1
写真2016.8.16畔屋

      つぼみ〜開花へ-1
写真2016.8.16畔屋

     花序と花冠
写真2007.8.31下石黒

      花弁と苞(各3個)
写真2016.8.16畔屋

     果実と種子

写真2010.11.8下石黒