コウボウシバ | |
暮らしとの関わり 海から遠い石黒の地に育った筆者には、初めて出会った野草であるが、記憶の奥深くに微かなイメージが蘇る様な気もする。小中学生の頃の臨海教育の折に見た印象であろう。 筆者の子どもの頃(1950年頃)は、夏休み前半に地蔵峠を越えて鵜川からバスに乗り鯨波まで海水浴に来た。二泊三日の合宿であった。陸に上がって入水の鐘の合図を待っている時に、腰を下ろした砂浜に生えていたのがコウボウシバであったように思えてならない。 反り返って弧を描く細身で帯白色の葉には人目をひくものがある。 上の写真は自宅近くの造成地で撮ったものであり、海岸の砂に混じって運ばれたものであろう。花後だいぶ過ぎていて果実が大分ふくらんでいる。ハマヒルガオも近くで咲いていた。 〔写真2010.6.20新田畑〕 雄花と雌花 写真2010.6.20 新田畑 太く長く伸びる根茎と強いヒゲ根 写真2010.6.20 新田畑 |
解 説 カヤツリグサ科 日本全国の海浜砂地に希に湖畔に生える多年草。 地下茎は太く伸びて強いひげ根を出す(上写真)。 茎は10〜20pで3稜があり直立して先端に花をつける。 葉は茎よりも長く線形で先は尖り皮質強靱。葉の巾は2〜4oで白色を帯びた緑色。 花期は5〜7月。茎の上方に2〜3個の雄花、下方に1〜2個の雌花をつける(左写真)。 果穂は短く太く円柱形で果胞を密につけて(上写真)長さ1.5〜2p。 果胞は、夏に茶褐色に熟しコルク質となる。 名前の由来は、これに似て実の大きなコウボウムギ(弘法麦)があり、それに比べて実の小さなことによる。 雄花〔上〕と雌花 写真2013.5.12笠島海岸 |