コシジシモツケソウ
暮らしとの関わり
 食べ物の不足していた終戦前後の子どもは何を見ても食べ物を連想したものであった。シモツケソウの花は、子どもたちに食紅で染めたデンプを思い出させた。
 石黒ではよく見かけるが、どこにでもあるという植物ではない。山腹とか川や沢の周りで小群生をよく見かける。
 中学生のころの夏、朝早く石黒川で魚釣りしていると川風が花の香りを運んできた。川下に目を転ずると、朝霧の中からシモツケソウの花の群落が忽然と現れたときの感動を今も覚えている。石黒川の渓谷にしばしば群生が見られる。(群落写真)
 2011.11.29に石黒川の渓谷に下りてみると南川岸の絶壁にシモツケソウが花をつけていた。いわゆる狂い咲きと言われるものであろうが、普通の場所では地上部は茶色に枯れているのに珍しいと思い撮影した。→参考写真
 先刻(2018.6.10)家内が友達からキョウカノコの切り花をもらってきた。比べて見るに、花の色はキョウカノコが濃いが、葉や茎は判然とした違いはないようだ。
 花の色は好みによるが、香りはコシジシモツケソウが勝るように思われるが、どうであろうか。→比較画像

(写真上・右下2005.7.3下石黒 右下20056.18下石黒)

※開花前のコシジシモツケソウ

              発芽

写真2015.4.9下石黒(残雪140p)

        春のコシジシモツケソウ

写真2009.5.7落合

      開花期のコシジシモツケソウ

写真2009.6.15下石黒

      コシジシモツケソウの根茎

写真2009.5.12寄合

    コシジシモツケソウの葉(裏表)

写真2009.5.12寄合

         茎の稜

写真2009.10.16下石黒

           花のつくり

写真2009.6.19下石黒
解 説
バラ科
 本州の日本海側(富山県、長野県北部、新潟県、福島県西部、山形県)に分布し、山地から深山の沢沿いなど、やや湿った場所、林縁の斜面に多く見られる多年草
 茎は高さ1〜1.5mとなりがある(左下写真)
 葉には、根もとから出る葉〔左下写真〕と茎に互生するものがある。茎につく葉は大きく長さ5〜15p、幅10〜20p。基部は心臓形で掌状で5〜7裂する。裂片の先は鋭く尖る。縁には鋸歯がある。側小葉は1〜2対で長さ1〜3p〔左下写真〕托葉は耳状で茎を抱く〔下写真〕
 花期は7〜8月。茎の先に小花をやや密生した散房状または円錐状花序をつける。花序は無毛。花はピンク色の径4〜5oの小さな五弁花。ガク裂片は開花時には反り返る。
 花弁の基部には明らかながある(左下写真)子房は有毛で柱頭は頭状になる〔写真準備中〕。つぼみもピンクの玉状で美しい。
 そう果は、柄があり皮針形で両端は狭まり両縁に毛がある〔下写真〕
 名前の由来は、低木シモツケ〔下写真〕の花に似ていることによる。



      葉の鋸歯
写真2009.10.16下石黒


   葉柄の付け根の托葉

写真2009.5.12寄合

      果実〔そう果〕

写真2005.7.9下石黒

    種子撒布後と種子

写真2008.12.2下石黒

       果実

 写真 2019.8.24 下石黒

        種子

写真2010.11.10
 
    キョウカノコ(草本)

写真2018.6.10 栄町
※シモツケソウの園芸種と言われる

    シモツケ(樹木)

写真2005.7.1下石黒
※畔屋に自生していたものを移植したもの。石黒ではシモツケは今のところ確認していない。