コゴメガヤツリ
暮らしとの関わり
 石黒では、カヤツリグサ、コゴメガヤツリ、チャガヤツリなど区別せず「マスグサ」と呼んだ。
 昔は、田や畑の強害草であった。主に田の畔に多く生えた。
 筆者にとって、この草が放つ独特の香気は、60年の歳月を経た今も、炎天下に畔草とりをした少年時代の夏の日を鮮やかによみがえらせる。(2009.7)
 近頃、写真を撮ってみて、カヤツリグサは実際に区別のつきにくいものがあることが分かった。

〔写真2006.9.16上石黒〕


       コゴメガヤツリとカヤツリグサの花序比較
コゴメガヤツリ  カヤツリグサ
   
 小穂は斜上し開出しない  小穂が開出する

      小穂と鱗片と果実

写真2007.10.2上石黒
解 説
カヤツリグサ科
 本州、四国、九州の日当たりの良い湿地にごく普通に見られる。
 茎は高さ30〜60pで切り口が三角形
〔下写真〕。一株に数本茎が直立する(左下写真)
 紫色のヒゲ根
〔下写真〕を出す。
 葉は互生し葉の下部はサヤとなって茎の本を包む。葉の幅は2〜6o。
 花期は8〜10月。茎先に3〜4片のを放射状に伸ばし、その中心から3〜4本の花柄をのばし穂状の花をつける。小穂はカヤツリグサのように開出しない。
 穂の色は薄い黄色〜黄褐色。小穂には10〜20個の籾〔もみ〕の形に似た果実がつく〔左下写真〕。
 全体に一種の香気を持つ。
 名前の由来は花の形が小さく米粒に似ることによる。



     茎の断面

写真2007.9.12下石黒


   紫色のひげ根

写真2006.9.22上石黒