キツリフネ | |
暮らしとの関わり 石黒では「スモットリバナ」と呼んだ。方言の由来は、子どもが花柄の長いこの花を採ってお互いに花を絡ませてひっぱって遊んだことによる。 また、子どもの頃に、熟した果実(さく果)を柄の部分から折って採り平手の中で指で触れるとさく果がはじける感触を楽しんだ記憶がある。 石黒では、ツリフネソウに比べキツリフネはやや少ないが奥山に入るとキツリフネの方が多い。所々でツリフネソウとの混生が普通にみられる。(下写真)→比較画像 しかし、ツリフネソウに比べると全体が柔らかく華奢に出来ているように思われる。 また、花期は8〜9月とされるが、5月下旬から集落内の道端で花をしばしば見かける。花期は間6〜9月とするのが妥当であるかもしれない。 時には、白と黄色の混じった花の変種に出会う。(左下写真) 〔写真2005.9.26上石黒〕 ※キツリフネの種子散布のしくみ−動画資料 花期前-左下にツリフネソウが混じる 写真2015.7.4下石黒 ツリフネソウとの混生 写真2005.8.29上石黒 花のつくり 写真2005.8.29上石黒 互生する葉 写真2006.9.30下石黒 早い開花 写真2007.6.10下石黒 |
解 説 ツリフネソウ科 日本全国の山の半日蔭の湿ったところに生える一年草。高さ30〜80cm。全体が緑白色で柔らかで無毛。 茎は直立して分枝し柔らかく多汁質で節はふくれる。節はふくらみ2pものもある(下写真)。 葉は柄があり互生し卵形で先端は鈍頭(左下写真)。縁は鈍い鋸歯があり質は柔らかで長さ4〜12p。 花期は8〜9月。葉の付け根から細くて長い花柄をだして3〜5個の花を吊り下げてつける。花は淡黄色で径は約2p。内側に赤褐色の斑点がある〔上写真〕。 花のつくりは、ガクは上から見える2枚と後ろの袋状で円く距のある下ガク片(後ガク片))が1枚で合計3枚。距はツリフネソウのように巻かない(下写真)。 花弁は前上方に伸びたもの(旗弁)が1枚、下側左右のもの(翼弁)2枚の合計3枚。しかし、下側左右の花弁は2枚が合着したものであるので正確には5枚。 5個の雄しべのヤク〔葯〕は連なっている。雌しべは1個。 雄性先熟で雄しべが先に熟し花粉を出す(自家受粉を避けるため)。とくに花期前期に閉鎖花をつける。 さく果は、細長くて両端がとがっている熟すとホウセンカのように果皮が反転して種を飛ばす。 名前の由来は黄色いツリフネソウの意味。 キツリフネの変種 写真2007.10.10下石黒 多汁質で透明度のある茎 写真2010.6.18上石黒 |