キンミズヒキ
暮らしとの関わり
 石黒では「ネコノシラミ」と呼んだ。方言名の由来は不明である。家のまわりに生えていて鉤状の毛をもつ実が飼い猫の毛に付着したことによるか、あるいは人の衣服に付着するシラミのように小さい草の実からつけられた名前であろうか。
 花穂は美しいが全体の姿が乱れやすいためかあまり印象に残らない草花の一つである。
 時には秋に美しく紅葉した個体を目にする。(下写真)

(写真2005.9.19板畑)


       花期前のキンミズヒキ

写真2005.8.4下石黒


          キンミズヒキ若草

写真2009.4.29落合

           花序(総状花序)

写真2010.7.21落合

           花冠の裏表

写真2011.8.21下石黒

   カギ状の毛の生えたそう果(偽果)

写真2009.10.12寄合

        衣服につくそう果

写真2010.12.1大野   政栄

          しばしば目にひく紅葉

写真2011.11.2下石黒
解 説
バラ科
 日本全土の山野や道端に普通に見られる多年草。全株に毛を密生する。
 草丈は50〜150p。
 葉は互生して不整奇数羽状複葉。小葉は5〜9個あり長さは不揃いで大きな対のもので4〜5p、幅2p内外。両面に粗毛を密生し縁には粗い鋸歯がある〔左下写真〕托葉は半心臓形で縁に粗い鋸歯がある〔下写真〕
 夏から秋にかけて小枝の先に多数の黄色い小花をつけ穂状に見える〔総状花序−上写真〕。
 花は短柄をもち径6〜11o。小包葉は葉質で細かく裂け〔宿存して果実期にはガク筒かぎ状毛となる−左下写真〕、ガクは5裂し裂片の先端は尖る〔下写真〕。花片は5個、長さ2.5〜6o、幅1.5〜2o。雄しべは8〜15個で花片より短い。 
 そう果永続性のガクの内側にできガク筒には鉤状の毛があって〔左下写真〕衣服や動物の毛に付着する。また、そう果は萼筒に包まれていて全体が実に見えるが正式には偽果(左写真)
 名前の由来は穂状の花を熨斗袋につける金色の水引に見立てたもの。



       托 葉

写真2005.8.4下石黒

      花とつぼみ

写真2005.8.4下石黒

     小包葉とガク

写真2005.8.4下石黒

    花期〜果実期へ
写真2010.9.1下石黒

 葉の形−不整奇数羽状複葉

写真2009.9.17下石黒

      かぎ状毛拡大
写真2008.12.3下石黒

     茎基部と根
写真2009.8.12下石黒