キクバドコロ
暮らしとの関わり
 石黒で「ガニトコロ」と呼んだ。トコロ〔オニドコロ〕と違って根茎は堅く食べられない
(※オニドコロも有毒とされるが石黒では昔からヤマノイモと共に掘って食べられてきた・・・しかし、近年、キクバドコロかウチワドコロあるいはカエデドコロか未だ不明であるが、いずれかの根茎による激しい中毒例の情報がWEV上にあるので、オニドコロと間違えないように留意を要する。また、オニドコロも多く食べないように注意したいものだ)。
 ガニドコロの方言名の由来は、食用にならない事を「ガニ→蟹」で現したとものかも知れない。あるいは、オニドコロのように枝別れしないで合着した根茎の形がカニの甲羅に似ていることによるものかも知れない。
 たしかに、キクバドコロの根茎は下写真のように枝分かれせず塊状でひげ根も少ない。
 トコロの仲間には、他に、カエデドコロやオニドコロやウチワドコロがある。
 本個体についてもキクバドコロかカエデドコロか迷ったが、すべての裂片の先端が鋭くとがることと葉の付け根には一対の小突起がないことでキクバドコロと同定した。
 植物図鑑などに掲載されているキクバドコロは中央の裂片が細いものが多いが石黒では筆者は未だ出会ったことはない。掲載の葉は一見カエデドコロの葉に近い形である。
 お詳しい方の御指導を乞いたい。

(写真上・右上2005.7.6大野 右下2005.7.15居谷)


       長さ19pの大きな葉もある

撮影2009.9.14落合〜寄合旧道


         キクバドコロの根茎

撮影2008.11.11下石黒

撮影2010.11.21下石黒   政栄

      3枚の羽状のサク果

写真2005.11.30大野


解 説
ヤマノイモ科
 全国の山野に生える雌雄異株のツル性多年草
 茎はツル性で円柱形で冬には枯れる。地下には肥厚してヒゲ根のある肥大した根茎がある〔左下写真〕。
 葉は大形で互生し深く5〜9裂先はとがり葉柄は長い。葉の大きさは6〜12pほどで先端は鋭くとがり基部は深く凹む〔上写真〕。
 夏に葉の付け根から穂状(雄花、雌花どちらも下垂)の淡紫色の小花を垂れ下げる。雄花雌花ともに6花披片がある。雄花には雄しべが6個ある。
 さく果は三枚の羽があり垂れ下がった花軸に上向きにつく〔左下写真〕。長さは1.5〜2p。種子には薄い円形がある(下写真)。
 名前の由来は、葉の形が菊にやや似ていることによる。



   キクバドコロの根茎

   撮影2008.11.11下石黒


  突起のない葉の付け根

撮影2010.6.16下石黒

       種子

写真2005.11.30大野


 参考画像→オニトコロの根茎

※オニドコロは根茎は数個に枝分れして、ヒゲ根が多く、質もそれほど固くない。