カワラケツメイ
暮らしとの関わり
  カワラケツメイは石黒では普通に見られる。
  クサネムと酷似するが、子供の頃からその区別はできた。そのわけは、終戦前後〔1945年頃〕の食糧難の頃にカワラケツメイを刈り取って干した茎葉をお茶代わりに飲んだからである。
 カワラケツメイはクサネムに比べ花期がやや遅く茎にも中空のところはない。また、クサネムはサヤが一室ごとに横に分離するがカワラケツメイは上の写真のように縦に割れて種子が現れる。
 カワラケツメイで作ったお茶は「弘法茶」と呼び、干したものをその場で茶煎りで煎ってヤカンの中で熱して飲んだ。香ばしくておいしいものであったような記憶があるがどうであろうか。もう一度飲んでみたいと思っている。
 「弘法茶」の由来は弘法大師(空海)が自分の健康保持のために飲んでいたものを全国行脚の際に普及させたものと言い伝えられている。参考画像→群生
 単生しているカワラケツメイの茎はよく分枝して、下部は一見、木質化したように見える(下写真)。

(写真2005.8.20居谷)


       葉の拡大と葉柄の蜜腺

写真2006.7.25大野

         果実の成熟、種子散布まで
写真2013.10.6鯨波海岸

        果実の頃のカワラケツメイ

写真2007.10.5下石黒


        クサネムとカワラケツメイ

写真2007.8.25下石黒

             海岸の群生
写真2013.10.6鯨波海岸

        よく枝分かれした個体

写真2007.10.21下石黒

       根にみられる根粒

写真2010.10.12下石黒

解 説
マメ科
 本州、四国、九州の各地の野原や河原、道端など日当たりのよいところに生える一年草
 茎の高さ30〜60p。茎には毛があり、根元から分枝するものもある。
 葉は蜜腺の一つついた短柄があり〔左下写真〕互生羽状複葉で長さ3〜7p。小葉の長さは3〜10o、幅2〜3o。托葉は針形または線状被針形で長5〜7oで宿存する(下写真)
 クサネム同様就眠運動をする。
 花期は8〜10月。葉の付け根から柄を出して濃い黄色の5枚の花弁をもった花をつける。ガクは5個皮針形で先端が鋭くとがる〔下拡大図〕
 花弁は5個、稔性の雄しべ〔受粉ができる雄しべ〕は4個、雌しべは1個、子房は短い軟毛を蜜にかむり花柱は上に曲がる。
 果実は豆果で長さ3〜4p、幅5〜6o。平たく細毛がある。種子は普通10個ほど入っている〔上写真〕
 名前の由来は河原に生えるケツメイの意味。ケツメイは同類の有用植物。



    茎の基部の様子
写真2013.10.6鯨波海岸

       花拡大


写真2008.9.30下石黒

        托葉
写真2008.9.30下石黒

 クサネム(左)との茎の比較

写真2007.8.25下石黒

       幼果
写真2011.8.22下石黒