ヤブカンゾウ
暮らしとの関わり
 石黒では「ギシギシ」と呼び、田のクロ(棚田の間の斜面)の草刈りで、この花を残す人が多かったのでよく見かける花だった。
 その後、除草剤が使われるようになってからめっきり少なくなった。
 ヤブカンゾウは、梅雨が明けてニイニイゼミが鳴き始める頃に咲き出す夏の花である。野草としては大輪で鮮やかなオレンジ色の花は草ヤブの中に咲いていてもよく目立つ。
 上の写真の花は板畑集落から嶽に向かう道下の草ヤブの中に咲いていた。
 牧野植物図鑑では「ワスレグサ」と表示され、「中国ではこの花を見てその美しさに憂いを忘れるという故事あり」と記されている。

(写真上・右下2005.7.25板畑 右上2005.6.3落合

          4月の頃のヤブカンゾウ

写真2009.4.18泊山

            花断面

写真2010.7.17板畑
          
ヤブカンゾウの根と葉

 写真2009.5.19落合
解 説
ユリ科
 日本全土の田の土手や草ヤブなどに自生する多年草
 高さは30〜40p。根は黄色で末端は往々塊根状となる。(下写真)
 根茎から横につる枝を出して繁殖する。
 葉は2列に出て互生し下部は重なる。葉は広い線形で時には幅が5pにもなる。(右上写真)
 夏に茎の先端に橙色の花(内側の花弁はオシべが変化したもの)をつける。花は径8pほどで八重咲きがふつうである。花は1日花。 
 若葉は山菜とされる。果実はできない。
 牧野植物図鑑では、和名をワスレグサ、別名をヤブカンゾウとしている。名前の由来はヤブに咲いていることによる。

      塊根状の根
写真2009.5.19落合

    
ヤブカンゾウつぼみ

写真2005.7.18大野

   花弁化しためしべ



     できない果実

写真201.7.17下石黒