イヌヌマトラノオ
 昨日(2019.7.8)に朝の散歩時に松美町内の水路に沿って歩いていると向かいの土手に沢山咲いているヌマトラノオらしい花に目を引かれた。花穂は直立していてヌマトラオと思われたが葉が卵形に近くオカトラノオのように見える。水路(下部はコンクリート製)の縁といっても道際に生えているのでここまで水位が上がることは1年に1度あるかない場所である。
 オカトラノオ属では、本個体に最も近い種はオカトラノオとヌマトラノオであるが本個体を両者と比較してみた(下表)。

   オカトラノオ  イヌヌマノトラノオ  ヌマトラオ
 葉  卵形  卵形に近い  長楕円形
 花序  曲がる  直立  直立
 花の密度  高い  高い  中程度
 葉の縁の毛  ある ない   ない
 ※茎上部て分枝しているもの、茎に稜のあるものが見られた。
 これらの特徴からみて、この個体はオカトラノオとヌマトラノオの交雑種であろうと思われる。
 ところで、筆者がヌマトラノオとして本サイトに掲載した写真にも、どうやら雑種イヌヌマトラノオらしい画像も見られるのに当惑している。今後、石黒地内の実態を留意して観察してみたいところだがフィールドワークもままならない老体となり実現は難しいかも知れない。

写真2019.7.9 藤元町


             花期前
写真2019.7.9 藤元町

             花期を迎える
写真2019.7.9 藤元町

     ツボミから開花への花冠の様子
写真2019.7.9 藤元町

           開花期から結実期
写真2019.8.12 藤元町

                花冠の拡大
写真2019.7.9 藤元町

            花期から果実へ
写真2019.7.11 藤元町

          成熟した種子

写真20022.11.26 藤元町



解 説
サクラ科
〇本頁掲載の個体ついて。
 茎は円柱形または稜があり、高さ50〜100pほど。葉は幅3.5p、長さ8pほど。地下茎は太く横に這う。
葉は互生し全縁で縁には毛はない。
 花期は7月〜。花穂は直立し長さ25p花穂の最大部直径は2〜3pほど。花の直径は1.2pほど。雄しべ5個、雌しべ1個。
 さく果は球形で径約2.5o。永続性のガクに包まれている。
 名前の由来は、ヌマトラオ似ているが形態が違うことによるものであろう。



    ガクの背の腺毛写真2019.7.9

     葉の付き方

写真2019.7.9 藤元町

      葉の表裏
写真2019.7.11 藤元町

    全体の様子(100p)
 折れた状態で自生していた
写真2019.7.9 藤元町

上部で分枝した個体もある写真
2019.7.9 藤元町

    雌しべと雄しべ
写真2019.8.12 藤元町

   根の様子
 写真2019.7.9 藤元町

      果実-成熟前
写真2019.8.12 藤元町

    成熟した種子

写真20022.11.26 藤元町