ヒキオコシ | |
暮らしとの関わり クロバナヒキオコシは石黒では普通にみられるが、ヒキオコシは多くはないと思われる。 筆者が初めてこれを見たのは上石黒の嶺坂の頂上付近であった。花期の頃で分枝した先にそれぞれ細かな花を多数つけ全体で大きな円錐花序を成して山道にしな垂れるような形で目についた。葉や茎の感じはクロバナヒキオコシに似ていたが花はもっと小さかった。 撮影した葉の形は茎上部のものを撮ったため狭卵形であるなど写真自体が不鮮明なこともあり同定できないで放置しておいた。 この度、WEV上で指導を受けてヒキオコシと同定できた。今後、石黒における分布状況を観察していきたい。 写真2011.9.10 上石黒 嶺坂 花の様子 拡大写真−まくれた上唇と舟形の下唇 写真2011.9.10 上石黒 嶺坂 |
解 説 シソ科 北海道南部から本州、四国、九州の山野に生える多年草。 茎は丈夫な地下茎から直立し四角形で(下写真)高さ1mほど。下向きの毛が密生する。 葉は対生し(上写真)広卵形(茎上部の葉は狭卵形−上写真)で長さ6〜15cm、幅3.5〜8cm。先は尖り基部は急に狭くなり翼につながる。葉の縁には粗い鋸歯があり(下写真)脈上には短い柔毛がある。 花期は9〜10月。枝先や葉の付け根に大きな円錐花序をつける。 花は淡紫色で小形の唇形花冠を多数つける。ガクは長さ2mmほどで5裂し細かい毛が密生し灰白色を帯びる。 花の長さは5〜7mm。上唇は反り返って直立し浅く4裂し紫色の斑点がある。下唇は舟形で前方に突き出している(左下拡大写真)。 雄しべ4個のうち2個は長く、雌しべより長い個体と短い個体がみられる。 分果は4個あり長さ約1.2mmの楕円形で永続性のガクにつつまれている。 名前の由来は苦い成分をもっていて健胃薬として用いられ、瀕死の重病人に弘法大師がこれを飲ませたら起き上がったという伝説による。 四角い茎と葉の様子
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