イノコズチ〔ヒカゲイノコズチ〕
暮らしとの関わり
 イノコズチは、茎の節の部分が赤いために意外と目を引く野草である。紅葉も美しい。→参考画像
 また、秋の頃に草やぶに入るとズボンに一面に付着するのが、このイノコズチの種である。細かいために取り去るのに苦労する。このことから石黒では「コジキノシラミ」と呼んだ。家の周りなどどこにでも見られる植物である。
 子供たちはこの草の節がタマバエの産卵により虫コブとなって大きく膨らんだもの(下写真)を折って相手の頭を叩きあって遊んだ。しかし、衣服に付く種子にはアメリカセンダングサヌスビトハギのような親しみは感じなかった。

(写真2005.9.29下石黒)


            花期前の様子

写真2002.10.23下石黒

                果実期
写真2013.10.13上石黒

      花と果実のつくり


撮影2008.9.185上石黒

         虫こぶ

写真2009.11.6 下石黒
イノコズチの紅葉

撮影2008.11.5下石黒
−コメントから−
春の芽吹きから紅葉まで、思えばあっという間ですね!
イノコズチの紅葉、とてもきれいですね!!
そっと本の間にでも挟んでおきたいような・・・そんな色あいです。
折々に姿を変えながら、枝から離れる前に命を飾る・・・・・
一生は草木も人間も一緒なんですね。
〔2008.11.8受信  福島 大橋洋子〕
解 説
ヒユ科
 ほぼ全国的に分布する多年草。山地の木陰よく見られる。根はまばらなヒゲ状をしている。
 茎の高さは50〜80p。節は太く対生の枝を出して広がる。毛はすく断面は正方形。
 葉は対生で質はうすく毛がまばらに生えていて長さは5〜15pほど。包葉は小形で膜質。卵状三角形で花後も残る
 花は8〜9月に茎の先や葉のつけ根から花軸を出し長さ10〜20pの穂状花序をつける。花は下から上へ咲いていき花が終わると全体が下を向く。小包3個のうち2個は花披よりも短く細く先端は針状で反り返り他物に付着する〔下写真〕
 花披片は長さ4〜5o。基部に耳状の円い付属片がある〔左写真〕。雄しべは5個、雌しべは1個で子房は楕円形その上に花柱が1個ある。
 胞果〔ほうか〕は長楕円形、長さ2.5o、宿存ガクは膜質で中に1個の種子がある〔写真下〕
 この種には「ヒナタイノコズチ」と「ヒカゲイノコズチ」があるが、前者は後者に比べて葉が厚く葉の縁がねじれ毛も多く、形もがっしりしている。〔下写真〕
 名前の由来は茎の節くれ立ったところをイノシシの膝に見立てたもの。



   木漏れ日の中で
写真2009.10.12下石黒

 赤く変色した初冬の茎

写真2010.12.4 下石黒

  比較 ヒナタイノコズチ

写真2005.5.17 下石黒

       果実
写真2009.10.12上石黒

 成熟ほう果とトゲ状の包

写真2009.11.30 下石黒

      根の様子
写真2002.10.23下石黒