ハマエンドウ

暮らしとの関わり
 ハマエンドウは、海岸のみならず市街地周辺の空き地などにしばしば見られる。花は美しく、野菜のエンドウ豆によく似ていて、豆果も食べられるという。
 子どもの(1950年)頃、毎冬、郵送されてくる野菜の種のカタログを見るのは楽しみであった。3m余の雪に埋もれた家の座敷のコタツで兄弟で顔を寄せ合って待つ春に想いを馳せて頁を繰った。ある年に姉がスイトピーの種子を注文して、センゼェ(屋敷内の畑)の端に種をまいて育てた、エンドウ豆そっくりの草姿であったが花の色はとても美しかった。柏崎の海岸でハマエンドウの花と出会った時には、即座に、このスイトピーの花を思いだした。
 市街地の裏浜には防砂提の斜面などに大きな群生が所々に見られる。(写真 安政町裏海岸)また、市街地の空き地などで生き続けているハマエンドウを目にする。埋土用の砂に種子が混じって運ばれたものであろう。
 初夏の晴天時はには、ハマエンドウは葉を上げてて折りたたむようにして、白い葉裏を日にかざして強い日照を反射させている。
 石黒に多くみられるクズも真夏の日差しの中では3枚の小葉を折りたたむようにして水分の蒸発を抑える性質が見られる。

写真2010.5.15柏崎中央海岸

※埋め土から逞しく発芽し育つ個体


            春の出芽のころ

写真 2019.3.12 北園町

              成長期の様子

写真 2014.4.9 松浜

      互生する葉の表裏と先端の巻きひげ


  
写真2010.5.15柏崎中央海岸   

             托葉
 
写真2010.5.15柏崎中央海岸


                群生

写真2010.5.29市内長浜空き地

              雄しべと雌しべ

写真2012.5.28 柏崎中央海岸

                果実期

写真2015.6.4鯨波海岸
解 説
マメ科
 全国の海岸、まれに湖や川原などの砂地の草はらに生える多年草。
 茎は斜上し下部は長くはい長さ1mにも達し稜がある(左下写真)
 全体に粉白色を帯び長い地下茎がある。
 葉は8〜12枚の小葉があり、葉軸の先端は巻きひげとなる(右写真)。小葉は卵形〜長楕円形で長さ1.5〜4p。托葉は大型で三角状卵形、先は尖る(左下写真)
 花期は4〜7月。花は一つの総状花序に3〜6個つき、紅紫色から紫色に変わる(上写真)。まれに白色もある。長さ2.5〜3p。翼弁竜骨弁を被う。雄しべは10個で下の9個は癒着している〔左下写真〕、雌しべは1個。
 ガクは斜形で1.2〜1.5p、ガク裂片は不同長、ガク筒より長い。
 豆果は無毛、熟すると黒褐色で長さ約5p、幅1p。種子は球形。



       若芽のころ

 
写真 2019.3.12 北園町


茎の稜
 写真2010.5.15柏崎中央海岸

        つぼみ

写真2010.5.15柏崎中央海岸

     ガクの長さとガク筒

写真2010.5.15柏崎中央海岸

     花冠のつくり



写真2012.5.28 柏崎中央海岸


   花の色の時間的変化
 写真2012.5.28 柏崎中央海岸

          種子


写真2010.7.10柏崎中央海岸