ボタンヅル
暮らしとの関わり
 石黒ではよく見かける植物である。
 時には、花よりも花が終わって種子となる頃の羽状の変った形が目を引く。(左写真)子どもの頃から、家のまわりの林の縁などでよく目にした植物だ。
 茎は木質化して毎年同じ場所に生えるため馴染のある植物であったが、どことなく有毒な感じがした。
 しかし、真夏に白い花を一面に群れて咲かせると涼感があり美しい(下写真)今日(2019.8.4)、ふるさと石黒の生家の小路下の大根畑を耕していて、ふと目の前の土手を見上げると白い細かな花が目をひいた。何の花かと近寄ってみるとボタンヅルの花であった。去年は気づかなかったのが不思議なくらいに見事に花をつけていた。→写真
 また、筆者の観察では、芽吹きの頃の若葉は淡紫色を帯びているが、開くと緑色一色となる。(下写真)
 秋に、白い羽毛状の種子が沢山ついた様は花のように美しい。→参考画像
 センニンソウに花の感じが似ているが、葉の形が異なることで区別は容易である。

(写真上2005.10.2大野 右上2005.10.13板畑 2005.10.28下石黒)


           花期のボタンヅル

2007.8.14 上石黒国道沿い

           つるの先端

写真2015.7.21茨目

           淡紫色を帯びる若葉
    写真2015.7.21茨目

        ボタンヅルの葉の形

2008.7.31上石黒

                 花

写真2017.8.14 大野

    花と扁平な雄しべの花糸

2007.8.14 上石黒

            果実期-1

            果実期-2

写真2008.11.14 上石黒
解 説
キンポウゲ科
 本州、四国、九州に分布するツル性多年草
 林の縁や土手など日当たりの良い場所に生え他の草木に絡まって長く伸びる。
 茎は長く伸びてまばらに分枝し木質のツルで太くなり径1.5pにも達し表面に縦溝があり〔下写真〕皮がはげる。枝は細く緑色であるがしばしば暗紫色を帯びる。
 葉は有柄で対生1回3出複葉である(左下写真)。葉全体にかすかに短毛がある。小葉も柄があって卵形であり卵形で縁には少数の鋸歯がある。長さ3〜6p。葉の質はやや厚い。
 花期は8〜9月。茎の先端や枝の葉の付け根に集散状の短い円錐花序をつけ乳白色の小さい花を多数つける。花の径は1.5〜2p。
 4個のガク片は十字形に平らに開き長楕円形で外面には白色の短毛が生えている。花弁はない。雄しべは多数でガクよりもやや短く花糸は扁平である〔左下写真〕。雌しべも多数ある。
 そう果は狭い卵形で宿存花柱が伸びて長さが1pくらいで羽毛状となる〔下写真〕
 名前の由来は葉が牡丹(ぼたん)に似ていることによる。



    夏の蔓の先端

写真2015.7.21茨目

    葉とつるの様子
2009.6.1上石黒

      つぼみの頃

写真2008.7.31上石黒

        花期

写真2019.8.4下石黒

   ボタンヅルの茎の縦溝

2006.9.15上石黒

   ボタンヅルの果実

2008.11.14上石黒