アリノトウグサ
暮らしとの関わり
 生まれ育った石黒の植物で、名前を知っている野草がどれほどあるか考えてその少なさに驚く。
 アリノトウグサは、この歳(66才)にして初めて出会った植物である。釜坂峠の日当たりの良い表土にはりつくように生えていた。ちょうど花が咲いていたが長さ1oほどの花でルーペでもなければ形もなにも分からないほど小さい。
 植物図鑑で調べてみるとニュージーランド、オーストラリア、マレーシアの熱帯高地を経て日本まで分布するという。南方の国で越冬するツバメなどの渡り鳥によって運ばれたと言われる。再び秋に釜坂峠を訪れたときには小さな葉が赤く紅葉していた。〔下写真〕

写真上・右上2005.7.3寄合 右下2005.9.36寄合

            夏の様子
 写真2009.8.1寄合

          アリノトウグサの紅葉

 写真2007.11.14寄合

      雄性期と雌性期の花

 写真2007.7.30寄合

           葉のつきかた

 写真2009.8.1寄合

            花期の群生

 写真2007.7.30寄合
解 説
アリノトウグサ科
 日本全国各地の日当たりのよい土地に多く見られる多年草
 茎は束生し、しばしば赤褐色を帯び、はじめ地面に伏してヒゲ根を出して花をつける茎は直立する。茎の断面は四角。
 葉は小さな卵円形で縁に鋸歯があり、無毛で葉柄はごく短い(下写真)。基部で対生し上部では希に互生する(左下写真)。葉の径は6〜10o。
 花期は7〜9月。茎の上部は、12〜25p立ち上がり(上写真)点々と1oほどの小さな花をつける〔下写真〕。雄花の時期と雌花の時期があり(左下写真)、まず先に雄花が咲きガク片4個、花片4個で雄しべは8個。やくは紫褐色で黄色い花粉を出す。雌花が咲く頃には雄花は地上に落ちてしまっている。
 果実〔核果〕は倒卵形で8個の稜がある。
 名前の由来は小さな花をアリにたとえ草全体を蟻塚に見立てたもの。漢名の蟻塔。



      枝分かれ
 写真2010.8.12寄合

 短い葉柄と鋸歯と四角柱の茎
 写真2009.8.1寄合

       花期へ

 写真2009.8.1寄合
 
      花〔雄性期〕

 写真2007.7.30寄合