アオヤギソウ
 
 
 30年程前に松美の自宅の庭に、山から採ってきたアオヤギソウの一株を植えて7〜8年ほど育てたことがある。春の山の斜面にランの葉のような若葉を開いたアオヤギソウの群生に出会って、その葉の美しさと未だ見たことのない花を期待して移植したのであった。
 葉は幅広く縦線の葉脈があり、なかなか美しい姿の野草であった。そして、内心、コバイケソウのような豪華な花を期待していたが、薄緑色の冴えない花が咲き、失望したことを今も覚えている。
 その後、出会ったのは、2013年4月に菩提寺西方寺よりの帰りに立ち寄った南条の山であった。ここでも山のふもとの斜面にオオナルコユリオオバキスミレに混じって群生していた。未だ、葉を開き切らない頃であったので、是非花期のころに再訪したいと思っていたが、実現せずに今日まで来た。
 石黒や市街地周辺ではなかなか出会わない植物だけに、もう出会うことはないかと半ばあきらめていたが、思わぬところで出会った。それは近くの長浜町の人家の庭に植えられたアオヤギソウであった。昨年の7月で既に花期を過ぎていたが、今年は発芽から観察させてもらうことをお許しいただいている。
 アオヤギソウは石黒には自生していないと思われる。似た若葉には、ごく希に出会った記憶はあるが成長した個体を確認したことはない。ちなみに、「じょんのび高柳の自然」1997年刊の索引にもない。

写真2017.7.14 長浜町 左上


 オオナルコユリやキスミレと共に群生するアオヤギソウ

写真2013.4.12南条

           葉が開きはじめの頃

写真2013.4.12南条

                開く葉
写真2017.7.14 長浜町

     花期の始まり-花序が出始める

写真 2017.5.15 長浜

             花序が立ち上がる
写真2018.6.1 長浜



解 説
ユリ科
 本州中部以北から北海道に分布。山地の林床や少し湿った草原に生える多年草。 
 茎の高さは50〜100p。葉は茎の下部に集まっていて形は長楕円形からやや幅ひろく卵状長楕円形のものもある。長さは20〜30pほど、幅は6〜10pほど。葉の下部は次第に狭くなり鞘になって茎を包む。葉の大きさは変化に富む。
 花期は6〜8月。茎の先端に円錐花序がつき、花序に葉縮れ毛が密生する。
花の色は黄緑色で径〜10mm。花被片は長楕円状の倒披針形で長さ5mm内外。雄花と両性花がある。
 果実(刮ハ)は、楕円形で長さ15〜20ミリ。
 名前の由来は茎の基部に、ショロの毛に似た古い葉鞘の繊維が残ることによる。



        春の頃

写真2013.4.12南条

       花期の初め

写真2018.5.15 長浜

        つぼみの頃
写真2018.5.26 長浜

写真2018.6.1 長浜

         花


写真2017.7.14 長浜町

     吸密する蜂
写真2017.7.14 長浜町