アキノキリンソウ
暮らしとの関わり
 アキノキリンソウは、昔の石黒では9月15日の秋祭りが過ぎた頃から、道ばたや土手など日当たりのよいところで開花しして目を引く植物であった。
 派手な花ではないが、一株に数本の真っ直な黄色の花穂を立てて端然と咲いている姿は美しい。日本の秋を代表する野の花の一つといってよいであろう。
 初冬の、冠毛をもった種子が飛び立った後のアキノキリンソウも、ガク片がドライフラワーのようで美しい事を知った。上石黒の高床の山道で出会ったが、同株の一部に花が残っていなければ、それとは分からなかったであろう。〔右下写真〕
 今年(2012)海浜植物を調べた折に、鯨波海岸でアキノキリンソウに出会ったが、石黒に自生しているものと変わりなかった。ハマアキノキリンソウという種もあるようなので調べてみたら「関東以西に自生」とあった。

(上写真2004.10.3落合外山 右上2005.10.3寄合 右下2009.11.24上石黒)


          写真2007.10.18 大野

       海岸のアキノキリンソウ

 写真2012.9.10 鯨波海岸

       花のつくり

写真2006.10.14 下石黒

           
基部の葉の様子

写真2004.10.13 下石黒


解 説
キク科
 北海道から九州の日当たりのよい山地に普通に見られる多年草。変化が多く類似種も多い。
 茎は直立して30〜60pで強くて下部は普通黒紫色〔下写真〕。上部は短毛がありときには分枝する。
 葉は互生、根元の葉〔開花時には枯れる〕は束生しスプーン状であるが上部の葉は柄がない(左下写真)。葉裏には細かい網状脈がある。〔下写真〕
 花は晩夏から秋にかけて黄色い花を穂状につける。花弁のように見えるのは舌状花〔雌花〕と筒状の両性花がありこの筒状花が結実する。〔左下写真〕
 そう果には冠毛がある(上写真)
 名前は秋に咲き、花の美しさをベンケイソウ科のキリンソウに例えてつけられたものという。



     互生する葉

写真2007.10.15 大野元屋敷

 葉裏の網脈と黒紫色の下部の茎
写真2009.10.4 落合

 種子撒布後のアキノキリンソウ


写真2009.11.24 上石黒

         根

写真2009.10.4 下石黒