アケボノシュスラン
暮らしとの関わり
 上の写真は、下石黒のコサ川と松沢川の間、地名タキノフチズンネ(下石黒での呼び名)の林床で撮った。一見大葉のツルマサキのように見えたが近づいて見るとアケボノシュスランであった。
 その後、花期の8月下旬に再び訪れた。花は沢山ついていたがやや盛りを過ぎていた。生き生きとした夏の葉は冬葉に比べ美しかったが肝心の花は期待したほど美しいとは思わなかった。
 しかし、花に目を近づけて見ると、その色の向こうに遠い過去に石黒の生家の庭から眺めた明け方の空の色が甦る思いがした。

(撮影 2010.8.25政栄)
 東の空が白み、やがてほのかに紅味を帯びてくる曙をこの花の色に見た先人は我々よりはるかに優れた感性を持っていたように思われる。
時には大群生に出会う。→写真

(写真上・右上2009.8.28下石黒 政栄)


            地を這う長い茎

写真2009.8.28下石黒 政栄

      初冬のアケボノシュスラン(常緑植物)

写真2004.12.11下石黒

        茎の節から出る根-1

写真2010.8.25大野 政栄

            花のつくり

写真2010.8.25大野

解 説
ラン科
 山地の林の中に生える常緑の多年草
 茎は基部が地表近くをはい節毎に根を出す(下写真)。上部は斜上する。高さ5〜10p。
 葉は下部に4、5枚互生し長さ2〜4p、幅は1〜2p。先は尖り縁は波立つ(右上写真)。葉の基部は左右不相称で長さ1.5pほどの柄がある(左下写真)
 花期は8〜9月で斜上する茎の先に淡紅白色の花を3〜7個を密につける。〔上写真〕花の長さは1p。
 外花披片は卵状三角形で先は尖るが鈍頭である。
 被針形で長さ10〜15o。花弁は広倒被針形。唇弁は基部が膨らんで出っ張っている(左下写真)
 さく果は長卵形で無柄無毛。
 名前の由来は花の色を明け方の空に、葉を繻子(しゅす)にたとえたもの。


     花のつきかた


写真2009.8.28下石黒 政栄

   茎から出る根-2

写真2010.8.25大野 政栄

 基部の形が左右異なる葉

写真2009.8.28下石黒 政栄