アギナシ

暮らしとの関わり
 石黒では、近年、休耕田などに繁茂したオモダカをよく目にするが、アギナシはきわめて少ないようだ。
 葉が狭いだけでアギナシと思いがちであるが、オモダカの葉は変化に富み非常に細い葉のオモダカも普通に見られる。
 したがって、同定にあたってアギナシは、
@ランナーを伸ばさないかわりに根元にムカゴをつくる(右下写真)
A葉の先端がオモダカほど鋭く尖らない(ルーペで観察)
B花の位置が葉よりも高い(上写真)。
C葉の下の2枚の裂片が上の裂片よりも短い(右下写真)。
などから判断していく必要があるといわれる。

(写真2005.8.1上石黒)



                   雄花と雌花

写真2009.9.19上石黒


解 説
オモダカ科
 北海道から九州までの各地の水田、沢などに生える多年草
 茎は太く短く下に白いひげ根を出す。葉の形はオモダカに似るが葉身が細い。
 また、地中にオモダカのように走出枝〔ランナー〕を伸ばすことはないが根元にムカゴをつける(下写真)
 葉の長さ15〜30pにも達し長い柄があり根元から群がって生える。葉の先は尖るが拡大して見るとオモダカの先ほど鋭くない。
 花期は7〜10月。40〜80pの花茎をのばし上の方に白い雄花を多数つけ雌花は下の方に少数つける。雄花には柄があり雌花には柄がない(左下写真)
 果実は淡緑色の球形である。
 名前の由来は「あごなし」から転じたもので、若い葉が二股に裂けずへら形であることによる。



 葉下裂片と上裂片の長さ

写真2005.8.1上石黒

    アギナシのムカゴ

写真2005.9.16大野