アカタテハ
暮らしとの関わり
 春早くから降雪前まで見られるチョウであり、誰でも見たことがあるに違いない。
 秋には「おや、まだチョウが・・・」と、春には「おや、もうチョウが・・・」と見る人を驚かす。キチョウ同様、成虫で越冬する珍しいチョウである。
 春先、杉の幹などにとまって羽を閉じていることもあるが羽の裏は地味で目だだない。動きは敏捷で近づくとさっと飛び去る。越冬による羽の傷みもほとんど見受けられないことから優れた生命力をもっているチョウと言えよう。
 幼虫は、石黒ではカラムシの葉に多く見られる。カラムシの葉が縦に二つ折りになっているのは大抵アカタテハの幼虫の巣である
 今日(2013.11.16)石黒の冬囲いに出かけた。先日の初雪が少し残っていたが、晴天に恵まれ暖かい日だった。作業中に飛ぶ姿が黒く見えるルリタテハが何度も目にとまった。本種アカタテハも2度しか見られなかった。どうやら、紅葉のブナモミジに囲まれた石黒の庭ではアカタテハは周囲の色にのみこまれてしまって目にとまらないらしい。
 それにしても、これらのチョウは石黒の厳しい冬を越すのだが、その逞しさに感心しないではいられない。
 翌日(2013.11.17)も冬囲い作業に石黒を訪れると、庭のカキの木の熟した果実の周りに数頭のアカタテハが見られた。よく見ていると腐れかかった果実にとまって果液を吸っている。今年は、柿など果樹の実成が良く、野生動物には恵まれた年であろう。そういえば、今年は熊出没のニュースは一度も聞かなかった。
 一昨日(2014.1.3)は、穏やかな晴天に恵まれ畔屋方面の山に撮影にでかけた。山道で一頭のアカタテハに出会った。暖かい日には日向ぼっこにでてくのであろう。それにしても、動かずに越冬中のアカタテハには未だ出会ったことはない。

参考動画→シオンの花で吸蜜するアカタテハとヒョウモン

 (上写真2005.11.10下石黒 右上写真2005.7.4下石黒)


       地面にとまり暖をとるアカタテハ

 写真2010.10.20下石黒

        百日草の蜜を吸うアカタテハ

 写真2007.7.27下石黒

            拡大写真

 写真2023.11.10松美町

       熟した柿の果液を吸うアカタテハ

 写真2013.11.17下石黒

              冬のアカタテハ


 写真2014.1.3畔屋


解 説
タテハチョウ科
 日本全国に分布。4〜11月に田畑のまわりや林道、林のまわりでふつうに見られる。成虫はアザミケナシミヤマシシウドなどに集まって蜜を吸う。
 飛び方はすばしこく危機を察知すると瞬く間に飛び去る。
  両羽の長さは約7p。他の蝶の羽は10日ほどでぼろぼろになるのに比べ半年も持ちこたえるその強靭さは驚異的である。
 幼虫はイラクサ科の植物の葉を食べ、葉を二つ折りにして巣を作りサナギの時期もそこで過ごす。
 暖地では年に数回発生する。
 成虫のまま屋内や軒下などの冬を越す。
 名前の由来はタテハ蝶の仲間で羽が赤系であることによる。



     早春のアカタテハ
 写真2012.4.19畔屋

 テリトリー監視するアカタテハ

 写真2007.7.7大野

        後姿
 写真2012.10.20下石黒

     後方上からの姿
 写真2006.9.1居谷

     晩秋のアカタテハ
 写真2013.11.16下石黒

 写真2023.11.10松美町
 写真2023.11.10松美町