キトンボ
暮らしとの関わり
 石黒では、初秋から現れる中型のトンボをまとめて「十五夜トンボ」と呼んだ。9月の十五夜祭りの頃に多く現れるからであろう。
 昭和20年代には多く見られたが現在、石黒では希にしか出会うことのできないトンボとなった。原因は過疎化による水田の荒廃にともない天水田には欠かせない水溜池が激減したことによるのではないかと思われる。
 筆者が中学生のころ秋晴れの学校のグラウンドに夥しい数の十五夜トンボが飛び交いその中にたくさんのキトンボがいたように記憶するが、生態上キトンボはこのように群れて飛翔することはあるのだろうか。70年も前の記憶ではあるが鮮烈な印象であり記憶違いとは思われない。
 今改めて見ても秋の陽射しのなかを飛行する透き通るようなオレンジ色のキトンボは際立って美しい。
 WEB上の情報によれば、全国的に個体数が減少していて、特に関東では絶滅危惧種T類に選定している県が多いとのこと。新潟県でも数は減少しているのではなかろうか。

 〔写真上2005.10.2.大野 右上2005.10.28上石黒嶺坂〕


              後ろ姿
写真 2009.9.22 下石黒

             連結

写真 2005.10.17 畔屋

            池の縁近くで

 写真 2005.10.17 畔屋


解 説
トンボ科
 北海道から九州まで分布する。樹林のある平地や山地の池沼に棲む。
 体の特徴は体長約40mmで太めのアカトンボ。全体がオレンジ色を帯びている。雄は成熟すると腹部の背側が赤みを増す。〔左上写真〕
 雄雌とも羽は鮮やかなオレンジ色で美しい。腹部と胸には紋はない。(下写真)
 7月上旬から羽化し成熟するまでは近くの林の中に移動し9月下旬に水辺に戻り雄雌連結し池などの縁の泥に産卵する。
 名前の由来は羽の色による。



        横姿

写真 2006.9.27 落合

       前面から

写真 2009.9.22 下石黒

   体の下部拡大画像

写真 2012.9.29 矢田

      後ろ姿

写真 2006.9.27 落合

        産卵中

写真 2005.10.17 畔屋