アオイトトンボ
暮らしとの関わり
 石黒ではイトトンボ類を「ノウノウサマトンボ」と呼んだ。ノウノウサマとは神様仏様の意味で、方言名の由来は当時最も多く見られたイキトトンボの交尾で雄が立ち上がって手を合わすような姿勢が祈っているように見えることからつけられた名前であろう。
 そんなことは知らなかった子ども達にはノウノウサマトンボの名前がもっともふさわしく見えたのは からだの上面が光るような緑色のアオイトトンボであった。
 昭和20年代に家の周りで最も多く見られたはキイトトンボであった。その他、アオイトトンボを含め数種のイトトンボが見られたがいずれも数が少なかった。
 しかし、現在ではキイトトンボはまれに見られるトンボとなった。地方によっては絶滅危惧種に上げられている。
 それに比べてアオイトトンボは、筆者が子どもの頃と同様に見られるように思う。
 先般、嶺坂付近(嶺地内)の池で、集団で産卵するアオイトトンボの姿を見て驚いた→参考写真
ビデオ-アオイトトンボの集落産卵

写真上・右下2005.7.19.大野 右上2005.7.23下石黒


            産卵の様子

写真 2011.10.4 嶺

解 説
アオイトトンボ科
 北海道から九州まで分布し湿原や池沼に多産する。
 体長約41mm。体の特徴は体の背面は金属緑色、下面は黄褐色。成熟した雄では黄褐色部が黒化して表面全体が白粉を帯びる。
 卵は前年の秋にヒルムシロなどの艇水植物の組織内に生みつけられ春に孵化し幼虫は3ヶ月ほどで生長を終わり羽化する。
 産卵時は交尾の状態で完全に水中に潜ることもあるという。静止する際には羽を半開きにしている。
 名前の由来は背面の緑色による。


   羽化から成体へ



写真 2011.7.21上石黒