キイトトンボ
暮らしとの関わり
 石黒ではイトトンボのすべて「ノウノウサマトンボ」と呼んだ。
 産卵を交尾したままの状態で行うが雌が垂直に立ってまるで手を合わせて神仏を拝むような格好をする〔上右下写真〕。おそらく、これが方言名の由来であろう。
 ノウノウサマトンボのうち最も多く見られたのがキイトトンボであったが、今日では稀にしか見ることが出来ない。
 筆者が子どもであった1950年代に草むらの中を縫うように無数のキイトトンボが飛んでいた様子が今でも目に浮かぶほどだ。
 現在激減したのは、おそらく農薬の使用や圃場整備による環境の変化によるものであろう。
 石黒でも現在では放棄田の周りにでも行かないと見ることが出来ないほど少なくなった。
 いくつかの県では、絶滅危惧種にあげられているが、石黒とて実態は同様であろう。
現在(2008年)、柏崎市街地周辺でも稀にしか見られない種であるようだ。 

〔写真上・右下2005.7.23.上石黒 右上コピー写真〕

                拡大写真(♂)

撮影2007.7.16下石黒


解 説
イトトンボ科
 本州から九州まで分布する。
 体長は38mm内外。雌の方がやや大きい。
 5月から10月上旬まで見られ8月に最も多く見られる。
 体の特徴はイトトンボとしては体が太くやや大型。胸部は草緑色で頭と腹部は黄色。雄の腹には後ろ半分に黒い筋がある(左下写真)。雌は全体ににぶい緑がかった黄色で紋はない。
 幼虫は緑褐色をした体長15〜17mmのヤゴで尾ひれが広いことが特徴。
 名前の由来は体色による。

 


    接合した様子

写真 2005.7.23.上石黒